2011年11月19日土曜日

Shelter  カートリッジは前進する。 三歩目 rev.1

針先は悩ましい!
針先の形状は、トラッキングエラー・周波数特性の向上・カッターヘッドの相似性が追求された。コニカル、楕円、マイクロリッジ、レプリカント、フリッツガイガーなど、微細で一番硬いダイアモンドチップをここまで、加工する執念は今更ながら驚嘆する。

針先の詳細は、リンクさせていただいたアナログレコード再生のページに詳しく書かれているので是非ご覧いただきたい。

さて、現代のカートリッジは特性の重視からか、ファインラインに類する形状が主流である。
複数のカートリッジを持つ事が出来たとしても、レコード毎に最適なモノを選び出す事も現実としては、難しい。ステレオ用と限定したとして針先の最適な形状は、どれなのだろう?

ラインコンタクトの思い出
ラインコンタクト針に針には苦い苦い思い出がある。
カッターヘッドの相似形がカートリッジの理想とする考え方にすっかり遣られていたので、精密な構造と先鋭なラインコンタクトで再生すれば、どれほど素晴らしい”音楽”を聴くこと出来るかと夢想していた。 

SATIN 21

SATIN 21の最上級モデル”21P”をなけなしのボーナスをつぎ込んで購入した。持ち帰って早々に早る気持ちを抑えながら、当時使用していたDynavector DV-507に取り付け、指定針圧1gにセットした。 

最初は一番気に入っているレコードを掛けたいと思い ”私のサル; 北村英治 ”を選び出した。ターンテーブルに乗せ・吸着ポンプをON、 一息ついて回転を始めたレコードの上に、カートリッジを移動・静かに静かに針を降ろした。 期待は最高潮である。 ところが・・・

聞こえてくるのは音楽と供に”ピーーーー”という切り裂いたような音? 何が起こっているか判らず、すっかり上気していた気分も忘れ慌ててカートリッジを持ち上げた。レコードは無残にもカッターレースの字のとおり削られていたのだった。

遠い過去;この一連の顛末は、今も鮮明に心に残っている。

楕円針が最良
Shelter は一貫して楕円針を採用しているがその主たる理由は、
”基本的には先鋭的な針先は使いたくない。 理由は、年代やレーベルによってカッテングの状態が異なり、ユーザーに依っては、モノもステレオも一個のカートリッジで済ます人も多い。
極論すれば、Shelterのカートリッジはどのレコードからも80%の音を引き出してくれれば良い。
100%を狙うと上手く再生できないレコードが数多く出てきてしまう”。 という事であった。

この理由は苦い経験から首肯せざる得ないし、メーカー・エンジニアとしての良心を感じる。
しかし、そこはオーディオ。

レコードに潜む音全て・100%を狙って欲しいし、その未だ聴けない音を引き出したいという思いが在る。本当に正直な感想として、そのパフォーマンスに僅かながら不満があった。

安直にも、針先の仕様を変更さえすれば100%の音が引き出せると思っていたのだからお目出度い話である。針先を変更してくれという申し出に、”ダンパーやテンションワイアーの変更を伴う為に単純に変える訳にはいかない”という連れない回答であった。

待望のファインライン
ところが、”Harmony"で初めてファインラインを採用してきている。 勿論、この事が直ちにこの不満を解消する訳ではないが、 大きく期待をさせる変更である。しかしながら、そこはShelter、カンチレバーを含めた変更の目指すところはより多くのレコードに対応するための”90%”に抑えているように思えた。

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