ケーブルは決して音を出さない。
ケーブルは機器を電気的に接続するインターフェースで、ケーブルは決して音を出さない事は改めて云うまでも無い。その意味で”寡黙なケーブルの持つ個性を把握”し、自分の好みや音楽のジャンルを勘案しながら、ケーブルの選定・選択する作業は楽しみでもあり、終わりのない謎解きのようでもある。
今では常識ともされる”ケーブルで音が変わる”というアイデアは、今まで多くのアプローチを生み出し、次々に製品が生み出されて来た。現在では、数限り無いほど製品が溢れている。
流れを簡単に纏めてみると・・
1.LC-OFC、PC-OCC、μ-メタル、アズキャスト等の結晶構造に着目し開発されたモノ。
2.不純物が信号情報を阻害しているとの観点から、4N・ 6N ・8N と純度を追求したモノ。
3.構造に着目し、絶縁材料に、テフロンを創め、インシュレーションの構造等に着目したモノ。
4.導体構造に着目し、単線、リッツ線、撚り線、異型断面線
5.新規開発の反動からか自然材料に拘った製品。
そういった多くの製品の中で理想のケーブル・最高のケーブルはあるのだろうか?
”これだ!”と合点のいく理想のケーブルが見つかれば良いが、常識的に考えてもある条件で”最高”とされた物が別の状況では異なった評価になる事は良くある事で、個別の装置ごとに条件も異なれば、個人の嗜好も異なる。 各人が良いと思った物が良いという事で、それがある意味、それぞれの理想という事かもしれない。
銅がどう違う?
ケーブルは千差万別、百花繚乱 云わば何でもありの世界である。
ところが不思議な事に、近年のオーディオ的アプローチとまったく異なるケーブルが多くの支持を得ているようなのだ。 それは、高純度でもなく、結晶界面が多く、綿捲きや絹捲きなどの昔々のウエスタンに代表される所謂ビンテージと称されるケーブル群である。
ある時、この世界を知悉している人との出会いがあった。彼から多くのサンプルの提供と教示を得る機会があり、そこで聴く話は、極めて興味深い内容であった。
例えば、北米を中心としたサンプル(メーカー)を列記すると・・・
ACME、Acrometal、Altred、American Steel & Wire、Anaconda、Ansonia、Auto-Lite、Bridgeport、Buffalo、Belden, Canada Cable、Chicago、Cornish、Driver Harris、Dudlo、Essex、Gavitt、General Cable、General Electric、Green Bell、Henley、Holyork、Hudson、Kerrigan Lewis、Lenz、Marino、
New England、Packard、Phelps Dogde、Phiradelphia、REA、Roebling、Spargo、The WheelerInssulated、WE&M
これに、スェーデンやイギリス、ドイツの各メーカーが加わり製造年は古の1850年代から始まり・・・
インダクター2A、ブラックエナメル、など其々のメーカーが30種を超える仕様の数々・・
という、途方も無い種類とストック量である。
そのストックの内容と個々の評価・内容を詳細に説明を受けた。 そのほとんどが初見・初耳の事柄である。
メーカー、仕様と年代そして採出されたであろう鉱山に拠って、微妙な音質の差異は一定の傾向を持っているという。
例えば実際に見せられた1930年代のドイツ製サンプルは 0.4mm の素線。外皮は絹で、その外皮が解けない様に右廻りで被覆した上に更に絹で左回りで被覆してある。エナメル被覆は、ウエスタンと比較して何倍も強固に施されてる。ハンダ付けのためにエナメルをはがすのは、非常に手間が掛かる。リッツ線であればその手間は、想像するだけで嫌に為る。導体そのものは色も今まで見て来た純銅より白っぽく、銅の表面は輝くような鏡面であった。
説明があまりに膨大なので、その骨子を羅列すると・・・
”ウエスタンより良い物は幾らでもある。 ウエスタンで一番良いと云われるインダクター2Aであってもストックで一番良いモノと比較すると50%程度の音楽の再現力しかない”。
”基本的には古ければ古いほど良い”。
”銅が違う。 もっと正確に言うと銅鉱石そのものが違う”。
”最も良質とされている物は1900年代初頭迄のスゥェーデン製或はドイツ製である”。
”ホントかいな???” 知らなかった世界とは云え、半信半疑でる。
銅が違う? 銅は銅やろ!!
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