2011年11月13日日曜日

Ortofon 【オルトフォン】 SPU GTE の不思議#5

試聴
試聴するレコードは、様々なジャンル・録音年代も出来るだけ異なり、モノ・ステレオ双方から選定している。実際にはより多くのレコードを試聴したのだけれども、特に再生時にカートリッジの特徴を審らかにするだろう個々のレコードの詳細を以下に紹介しておきたい。

針圧は1.9g に設定したSPU GTE は、不思議な事に不安を微塵も感じさせる事もまったくなく、これらのレコードを易々とトレースする。再現された音楽は、今まで聞いてきたどのカートリッジよりも、豊かに豊かに響く。 拍手や響きが消え行く様も素晴らしく空間的であった。パルシブな音のキレも、最新のカートリッジが決して聞かせる事が出来ない迫真のリアルさである。  




CBS SONY  : Stereo
”We want MILES”
Side Two "Fast Truck"
マイルスのトランペットのリードにテーマが提示され、サイドメンの演奏が
重層し巨大な音のうねりとエネルギーが迸るセッションに圧倒される。
しばしのフェードアウトの後ミノ・シネリ のパーカッションがライブ空間を切り裂く。原始の血を滾らせる打音、それに続くマーカス・ミラーのベースは空間を縦横に躍動し聞くものを圧倒する。

Side Two "Jean Pierre"
前曲から切れ目なく続くこの曲の導入は更にエネルギーが横溢しポリフォニックな響きは時にブルックナーの交響曲に似て刹那の響きは永遠の宇宙を感得させる 荘厳な響きも瞬きの中に永遠に消えゆく。その全容をどこまで、聴かせてくれるか!

PABLO  : Stereo
”Jazz at the Santa Monica Civic'72”
エラ・フィツジェラルド とJATP オーケストラのライブ録音
まさに、’72当時のライブネス。エラが、JATPが、カウント・ベイシーが歌う。
ホーンセクションの分厚いハーモニー。それをバックに超絶のボイスコントロールで歌う情感豊かなエラのボイス。安定感を加えるトミー・フラナガンのリズムセクション。溢れ出るホーンの空気のうねり。 録音された人の声の凄さ、ライブ空間の豊かさは圧巻である。強靭なエネルギーとハーモニックスをテェックするにも好適な聞き応えのある1枚である。

 RCA Living stereo  : Stereo
”Marche slave:Side One  of  FESTIVAL"  Chicago Orchestra  Fritz Reiner
オーケストラ録音の最高峰ではないか?と個人的に思っている。
テーマの出だしから只ならぬ音で、フリッツ・ライナーの指揮は、オーケストラだけではなく、時を越えて再生される空間までも意のままに蹂躙する。
悪魔の凶暴さ、天使の甘美さ、生命感溢れるしなやかさと強靭さ、相反する響き、ダイナミクス、リズムが信じられないほどのリアリティーを持っている。まさしくレコードと呼ぶに相応しい。


 RCA Living stereo  : Stereo 
"Rhapsodies"  Stokowski
オーケストラ好きは文句無く楽しめる演奏であり録音だと思う。
”Hungarian Rhapsody, Roumanian Rhapsody" 前述の盤に劣らず素晴らしい録音で、楽しい。 試聴記サイトのコメントに”アンサンブルに乱れがあって演奏レベルは低い”とあるが、文字どうりハイレベルの録音で再生が難しいのでは。
特にRoumanian Rhapsodyでオーケストラの弦楽器全てがグリッサンドするところは、圧巻。


Atlantic : Stereo
"MJQ European Concert volume 1"
ミルト・ジャクソンのバイブラフォンの響きと供にユニットとして予定調和とさえ表現し得るほどの完璧なアンサンブルを聞かせるライブ録音である。
演奏するユニットの向こう側に広がる聴衆の雰囲気と拍手が一層のリアルを聞かせて楽しい。


Bethlehem : Monoural
"This is Cris" Cris Connor
1 Blame It on My Youth (Heyman, Levant)
改めてモノーラル録音の素晴らしさを聞かせてくれる。
その実在感は、ステレオに比し厚く、豊かである。
バックも凄いミュージシャンが揃っており、不思議な程に音は広がる。



Whestminster : Monoural
”The BARYLLI Quartet"
Beethoven String quartets No 10
室内楽を聴きたい時に、バリリを良く取り上げる。モノーラルなのにでなく、モノーラルだからこそのリアルな立体感を聴かせてくれる。演奏は、融通無碍 闊達として、飽くことがない。個々の楽器の音と醸成されるユニットの音が聴き処。夜半音量を絞って聴くベートーベンは実にしみじみと響いてくる。



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