Sheltrer 701 |
これらのカートリッジは、小澤氏に無理を云って、"Harmony"のカンチレバー他・振動系を新規に移植してもらった物である。
Shelterの実質的な処女作である”701”に最新のモデル"Harmony"の心臓を、そのまま移植出来る事にまず驚かされる。
基本設計は微塵も変わっていない。
では、何が変わったのか? 何を変えたのか? 何故変えたのか?
Shelter の変遷
形式
一貫して鉄心オルトフォンタイプのカートリッジを開発生産しているが、前述のとおりディメンジョンは、ほぼ変更がない事からモデルの変遷はそのまま部品の変更を反映している。
詳細は シェルターのホームページを参照して戴きたいがザーッと個別の変遷を眺めてみると、
マグネット
701シリーズはALNICO Magnet をベースとしていた。 501シリーズ、901シリーズになって当初はサマリウムコバルトを使用していた。3桁のシリーズと共にネオジムマグネットとなり、現在はほぼ全てのモデルはネオジムを採用しているようである。
カンチレバー
当初は アルミクラッドベリリウムパイプ ベリリウム無垢 アルミクラッドボロンと変わってきている。”Harmony" ではアルミを選択している。
巻き枠
一貫して純鉄 十字型(デンオン103と同形状)。
スタイラス
当初より先鋭的な形状 たとえば シバタ針、レプリカント、マイクロリッジ、フリッツガイガーなどは採用せずに、標準的な楕円針を採用し、”Harmony“ でファインラインをはじめて採用している。
最新モデル
実はシェルターに限らず、オルトフォンタイプのカートリッジは、という事は殆どすべてのという事に為るが、最新モデルと言ったところで、実質的に部品の材質の変更がほとんど全てで、基本は何も変わっていない。
しかし、カートリッジは部品点数が少ないために、材質の違いはそのまま性能の違いと言えるほどに重要なファクターである事は想像に難くない。
カートリッジは前進する
だからこそ最新のモデルが選択してきた材質や構造的工夫が、如何ほどの音楽的表現力を獲得したのかを確認するという作業が必要ではないだろううか?
”前作より良くなった””凄い”などの美辞麗句は、もう沢山。最新モデルという事で、単に称揚される時代は終わったという事である。
新たな選択は、新たなバランス点を見出す地道な作業を要求する。
その献身的な技術的成果こそが、オーディオの発展であり”前進”だと思う。
その思いを共有しコラムの題名とさせていただいた。
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