2012年7月20日金曜日

ケーブルは謎 #5

謎のケーブル誕生か
ケーブルに関して数多くのページビューをいただきありがとうございます。
関心を示して頂いている事が判り、大変嬉しく思います。

前回 ケーブルを取り上げてから暫く時間がたってしまったのですが、設計・仕様決定に思った以上に時間を要したのです。正確には、プラグの選定・加工・外装・パッケージなどをこれから更に詳細を詰める状況で、やっと目処が付いたという所です。
以前 記載の ケーブルは謎  #2 #3 #4を再度読んで頂ければ幸いです。

製品のリリースは、1~2ヶ月後を目標としています。 

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- 現状の報告から -
隘路
最高のケーブルを世に問う為に、納得できるモノにしたいと仕様決定には試行を重ねました。
ところが、その成果と手応えは、ジレンマ・隘路に阻まれる事に・・・

サンプルを製作し出来るだけ多くのユーザー宅でのフィールドテストを試み、製作者本人も同席して確認して来ました。サンプルを高く評価していただいた方もあれば、必ずしも良いと評価して頂けない方もいます。 私たちが、中庸であまり高く評価していない次点のモノが、ユーザー宅では、本当に生き生きとした豊かな音楽を奏でて高い評価をいただけるという事も。

結果の分析を重ねました。その理由を探り、音楽のジャンル・システム・聴き方など、再現されるだろう音と期待されていた音との齟齬を調べ、解決できる問題なのかという根本をも再考するという錯誤の連続でした。人の嗜好は様々で全ての人に納得させるモノなどない事は承知の事です。ですから、嗜好の問題であれば、私たちに成す術は在りません。 しかし、意図した音が再現できていないとしたら、考慮すべきは我々の問題です。

どのようにしたら、不特定のシステムで環境も異なるという条件下で、我々が良いと意図した音が、ユーザー宅で確実に再現しえるのだろうか。”ケーブルの評価”をする事の難しさを再めて確認する事になった一連の作業は、結果的に大きな収穫を齎してくれました。

ユーザーと多くの観点から対話を重ねていく内に、音が上手く再現されない要因は、ある傾向 数種類のパターンに収斂する事柄であると判ってきたのです。

交換する手順
では、ここで一つ質問させてください。
ケーブルの交換はオーディオファンとして心躍る楽しみの一つです。逸る気持ちを抑えて、
新たな信号ケーブル・電源ケーブルが各1セットあるとすれば、どの機器に接続しますか?

多くの方は、上流側 つまりCDプレーヤ 或いは フォノイコライザー(プリアンプ)周り、全体への影響力からテーブルタップの上流側 こういったところから交換すると答える人が多いのではないでしょうか? 

例えとして、浄水フィルターは飲料用の水栓そのモノに取り付けませんか? 水道の元栓にフィルターを取り付ける事はしませんよね。これと、同じようにパワーアンプ周りから交換すること、つまり下流から交換する事が、必要な手順の第一なのです。
これは、どのケーブルも同様ですから、現状のケーブルの接続順位から、良いと思われるケーブルを下流側から接続してみてください。

自分が評価する時は、既にシステム全体のケーブルを揃えていたので、この単純な事に気づく事が出来なかったという訳です。

ケーブルはひとつの要素
どのようなシステムの中に入れるのかという事は、やはり無視は出来ません。
ケーブルの評価も最終的には、スピーカーの音によって判断される訳ですから、どのようなスピーカーかは考慮すべき大切な要素という事です。

そのためには、システムを想定する必要があるのでは?

それがスピーカーであれば、JBLやTANNOYなど38cmを中心としたスピーカーは、太い断面積の大きなケーブルよりもある程度断面積を絞った方が、良いこと。
口径16cm前後のスピーカーはある程度 大きな断面積の方が良い・・・
それが、真空管アンプでシングルであれば、単線を・・想定されるシステムは千変万化 際限が在りません。個々にケーブルでマッチィングを計る事は、不可能です。

乱暴な結論を云えば、すべてのシステムにフィットするケーブルは無いという事です。

”あれれ、ケーブルはマジックだ、最高のケーブルだと主張してきた事とちゃうやん どういう事”
”結局、オーディオ屋は政治家と一緒。ええ事しかいわへん”という声が聞こえてきます。

ここで、私たちは、もう一度原点に立ち戻ることにしたのです。
ケーブルはシステムの欠点を補正するモノではないし、出来るモノでもない。

前項で、”私たちが、中庸であまり高く評価していない次点のモノが、ユーザー宅では、本当に生き生きとした豊かな音楽を奏でて高い評価をいただけるという事も” と書きました。
これが解決の糸口でした。

個別の状況や音の再現性も仔細に分析すると、3パターンに集約出来る様に思います。
音楽を周波数に分析して捕らえることは本意ではないのですが、オーディオも機器である以上仕方がありません。決定的な要因は人の声を[中心にした750㎐までの低音]域までの再現性です。(詳しいことは、別項で書く予定です)。

まとめます。 現状の音を決定付けるパターンは750㎐までの低音域の再現性です。
1・篭ったように聴こえる。
2・適正に聴こえる。
3・瘠せたように聴こえる。

この帯域のバランスが整うと、マジックを聴かせる舞台が整うのです
大まかな説明として、ケーブルの仕様が同じ;たとえばリッツ線 10本×2と20本では電気的な特性はほとんど同じですが、聴感上のエネルギーバランスは異なってきます。

イギリス製ビンテージ、ドイツ製ビンテージ、アメリカ製ビンテージそれぞれが特徴があり、
聴かせる音も取捨できない魅力があります。当初は一番再現性の高いものを一つだけ選択し製作する予定でしたが、こうした経緯から、私たちは全く同仕様でありながら、これら三つのパターンに対応したケーブルをリリースする事を検討しています。と書いた言下に、今後さらに方針を変更するかもしれません。

このブログ修正中(8月15日時点)に、プラグのコンタクト部分を採用予定の試作品が出来上がってきました。試作品で不満であった点をクリアーする、想像以上に良い印象です。

時間がかかる
最期に、ケーブルを交換して評価するまでに、思っている以上に時間が必要です。
交換して直ぐに”音”は変ります。具体的に、ハーモニーが出る・厚みがある・響きが豊か・空間の再現が などの変化があります。良い面もあれば、あれッと思う変化も在るかも知れません。

その変化が本当に”貴方”にとって好ましい変化だと私たちは、確信しています。
しかし、本当の変化は音楽とともに、しみじみと”貴方”の中に立ち現れてくる”充足”です。

表面的で直裁に変る音が、実は音楽家あるいはレコードが伝えたいものと貴方が音楽に期待するものをマッティングしてくれる変化である事を、確認するのには時間が掛るようです。






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