EMI DLS-529
レコードレーベルとして有名なEMI。レーベルの黎明期に少なからずスピーカーを作っていた。
振動系は、鳴りの良さと素直なバランスを想像させる周到な構造・設計で能率は97dBもある。
エッジは、ナイロンベースのゴム引きで、50年を経て問題がない驚異的な耐久性を持っている。
参考までに、デコラとDLS-529は同様の外観で振動系は共用のようではあるが、マグネットはDLS-529の方が遥かに大きなマグネットを使用している。
積層合板はフィンランドバーチのような固い木種ではなく、積層毎に木目の方向を変えて作られている。この素材の選択もEMIの巧妙さが、潜んでいると思う。 次に紹介する吸音材と共に箱鳴りを抑えるというよりも、耳障りな音が出ないように最少の措置で対処出来るように工夫されている。
ウーハー : 92390型楕円ウーファー
ツィーター : 99110B 7cmツィーター
ネットワーク : 4500/4型
クロスオーバー帯域 : 4500hz
サイズ :W610×H330×D310mm
重さ(一本) : 16kg
このユニットは年代・ロットで仕上げが異なるのですが、掲載のシステムはユニットの仕上げも同じで同ロットのモノだと思います。突き板の木種が異なります。 個人により異なると思いますが、並べても違和感はありません。 音響的なコンディションは極めて良いです。ネットワークのコンデンサーが若干劣化していますが、あえて現状としています。
レコードレーベルとして有名なEMI。レーベルの黎明期に少なからずスピーカーを作っていた。
様々なスピーカーシステムがあるが、基本は13” x 9”の楕円スピーカー(一回り小さなユニットもある)と3”のコーンツィータである。
日本には当時輸入されていなかったようで、,数年前でも知る人ぞ知る”隠れた名機”であり、検索してもほとんどヒットしなかった覚えがある。近年は音の良さが口伝されファンを増やしているのか、EMI DLS-529 で検索すれば、結構な人々が愛用している事。そして、その感想コメントから表現力の豊かさや鳴りの良さなど窺い知る事ができる。
Abbey Road Studios
このスピーカーの出自を調べていると、
”名レコーディングディレクタのウォルター・レッグがEMIレーベルに相応しいモニタースピーカーの開発をと命じ生み出されたスピーカーであり、アビーロードスタジオでも使われていた”
との記述と共に、一見古臭いデザイン・仕上げの外観は、BBCモニター群の前身にあたり、その質実の佇まいは確かに英国のモニター系スピーカー然としている。
それを家庭用モデルとしたのがDLS-529である、という説明になるほどと納得した覚えがある。
さして重要な事柄ではないが、この事に関し疑義を持つ意見があるが、ウォルター・レッグの伝記に当時のモニタースピーカーであるパルメコやタンノイに不満があり開発したと記されていたように思う。真偽は定かではないが、あえて虚偽だと非難する事柄ではないと思うのだが。
楕円コーンユニット 92390AL
日本には当時輸入されていなかったようで、,数年前でも知る人ぞ知る”隠れた名機”であり、検索してもほとんどヒットしなかった覚えがある。近年は音の良さが口伝されファンを増やしているのか、EMI DLS-529 で検索すれば、結構な人々が愛用している事。そして、その感想コメントから表現力の豊かさや鳴りの良さなど窺い知る事ができる。
このスピーカーの出自を調べていると、
”名レコーディングディレクタのウォルター・レッグがEMIレーベルに相応しいモニタースピーカーの開発をと命じ生み出されたスピーカーであり、アビーロードスタジオでも使われていた”
との記述と共に、一見古臭いデザイン・仕上げの外観は、BBCモニター群の前身にあたり、その質実の佇まいは確かに英国のモニター系スピーカー然としている。
それを家庭用モデルとしたのがDLS-529である、という説明になるほどと納得した覚えがある。
さして重要な事柄ではないが、この事に関し疑義を持つ意見があるが、ウォルター・レッグの伝記に当時のモニタースピーカーであるパルメコやタンノイに不満があり開発したと記されていたように思う。真偽は定かではないが、あえて虚偽だと非難する事柄ではないと思うのだが。
Dangerous Loud Speaker
卓越した音の再現力は、EMI自身が全幅の自信を持っていた事がそのモデル名からも窺える。DLSとは、Dangerous Loud Speaker のアブリビエーションで良くも付けたり Dangerous。
卓越した音の再現力は、EMI自身が全幅の自信を持っていた事がそのモデル名からも窺える。DLSとは、Dangerous Loud Speaker のアブリビエーションで良くも付けたり Dangerous。
楕円コーンユニット 92390AL
レコードレーベルの巨頭 DECCAとEMIが自社の名前を冠したスピーカーを造り、そこで使われたのが、型番92390ALで呼称される楕円ユニットである。コーンの内側の小さな楕円部分はアルミ製で、メカニカル2ウェイを構成するフルレンジユニットである。
楕円コーンはいつの間にか忘れられたフォームであるが、当時は同タイプのモノが数多く存在し、取分けテレフンケンやイソフォンのユニットが有名であった。ローレンツのツィーターがBBCモニターに採用された経緯もある事からこのユニットの開発にもドイツのメーカーの関与が有るのかも知れない。その素直な音調と表現力は今も好事家から高く評価されている。
楕円コーンはいつの間にか忘れられたフォームであるが、当時は同タイプのモノが数多く存在し、取分けテレフンケンやイソフォンのユニットが有名であった。ローレンツのツィーターがBBCモニターに採用された経緯もある事からこのユニットの開発にもドイツのメーカーの関与が有るのかも知れない。その素直な音調と表現力は今も好事家から高く評価されている。
楕円コーンは、技術的に見ても、駆動点をずらすオブリコーンより特性上も有利であり、他方コンベンショナルなコーンタイプと比較しても共振点を上手く分散出来るため、強調の無い特性が得られ易い。これらのモデルに共通する素直な音からも、再評価する価値があると思う。
92390ALの特徴
ボイスコイルは、以前見た分解図では、ボビンの内外の両方に捲かれたダブルボイスコイル。振動系は、鳴りの良さと素直なバランスを想像させる周到な構造・設計で能率は97dBもある。
エッジは、ナイロンベースのゴム引きで、50年を経て問題がない驚異的な耐久性を持っている。
参考までに、デコラとDLS-529は同様の外観で振動系は共用のようではあるが、マグネットはDLS-529の方が遥かに大きなマグネットを使用している。
アルニコ vs フェライト
このユニットには多くのバリエーションが存在し、また、DLS-529の中でも初期はアルニコを採用しており、中期以降のモデルはフェライトを採用している。後期モデルDLS-529Xはフェライトであるが、アルニコも存在しており、EMIはその違いをそれ程気にしていなかったのかも知れない。 一般には、アルニコのモデルの方が高い評価を得る事が多い。実際に聞き較べて見ると、アルニコの方が一層の深みがあり数少ないが入手できるのであればアルニコを推薦する。が、フェライトも悪くはない。このモデルのフェライトは実に良くできており、フェライトのもつネガティブな欠点はほとんど感じる事は無いだろう。
メッシュネットの巧妙
DLS-529の外観で目に付くのが、フロントグリルである。
現代オーディオでは、ピュア思想の流れから、フロントグリルの無いものが多い。有ったとしても、透過率の高い素材を採用し取り外し可能としたグリルで、まァ おまけみたいなモノである。
ところが、DLS-529ではこの為に、コストを掛けてわざわざ型を起こして製作している。
それは、細い金属製のプレートを編み込んだモノで素晴らしく手間が掛かっている。透過率は40%もない程で前面を殆ど金属に覆われている様にさえ見える。
最初は単なる当時のデザイン程度に見ていて、その隠された意味が判らなかった。このグリルこそが、このスピーカーを Dangerous 足らしめる要素の一つなのである。
実は、容量不足との指摘を目にしてバックパネルを緩めたり、簡易の遮蔽を施して容積を増やしたのだけれども、たちまちモジュレーションを起してしまいまともな再生が出来なくなった。
この経験から、このネットとユニット間に形成された空間はアコースティックチャンバーであるという事に気が付いたという訳である。音楽を再生すると更に不思議な事に、部屋のどこで聞いても音場感があまり変化しないのである。
エンクロージャーも当時としては珍しい密閉型アコースティックサスペンションを採用している。
【フロントグリル】は、この構造を生かす為にユニットの前面にアコースティックな負荷が掛かるアコースティックチャンバーを形成している。が、実はこれにアコースティックレンズの役目の機能をも付与している秀逸な構造に成っている。この事が判った時には、感嘆した。素晴らしい!
あるデコラの試聴記に”イギリスの音に共通なナロウレンジ。だから、フルオーケストラになると私のQUAD・TANNOY・EMIと同様ちょっと苦しい。”とあるがDLS-529ではこの指摘は当たらない。
現代オーディオでは、ピュア思想の流れから、フロントグリルの無いものが多い。有ったとしても、透過率の高い素材を採用し取り外し可能としたグリルで、まァ おまけみたいなモノである。
ところが、DLS-529ではこの為に、コストを掛けてわざわざ型を起こして製作している。
それは、細い金属製のプレートを編み込んだモノで素晴らしく手間が掛かっている。透過率は40%もない程で前面を殆ど金属に覆われている様にさえ見える。
最初は単なる当時のデザイン程度に見ていて、その隠された意味が判らなかった。このグリルこそが、このスピーカーを Dangerous 足らしめる要素の一つなのである。
実は、容量不足との指摘を目にしてバックパネルを緩めたり、簡易の遮蔽を施して容積を増やしたのだけれども、たちまちモジュレーションを起してしまいまともな再生が出来なくなった。
この経験から、このネットとユニット間に形成された空間はアコースティックチャンバーであるという事に気が付いたという訳である。音楽を再生すると更に不思議な事に、部屋のどこで聞いても音場感があまり変化しないのである。
エンクロージャーも当時としては珍しい密閉型アコースティックサスペンションを採用している。
【フロントグリル】は、この構造を生かす為にユニットの前面にアコースティックな負荷が掛かるアコースティックチャンバーを形成している。が、実はこれにアコースティックレンズの役目の機能をも付与している秀逸な構造に成っている。この事が判った時には、感嘆した。素晴らしい!
あるデコラの試聴記に”イギリスの音に共通なナロウレンジ。だから、フルオーケストラになると私のQUAD・TANNOY・EMIと同様ちょっと苦しい。”とあるがDLS-529ではこの指摘は当たらない。
積層合板
エンクロージャーは、突き板張りの積層合板を基材としていて、一見凝ったところは無い。
補強材などは入っていないが比較的剛性は高い作りである。
吸音材
写真からも判る様に、吸音材は一つ一つ袋状にマチを採って縫い上げられており手の掛かった作りになっている。 吸音材の量は、アコースティックサスペンション箱としては、最小限しか入っておらず、メッシュネット・エンクロージャー・吸音材が一体となるこの処理は、EMIの細心の配慮をしている事がわかる。
英国の音
伝統として語られる英国の音には、大きくは二つの潮流があると理解している。
一つは Voigt を起源としたラウザー(ローサー)であり、一つはBBCモニターのそれである。長年ラウザーを取り組んでいると理解できるが、中高域に十分ロードの掛かっていないラウザーは、素晴らしいレスポンスを魅せてくれるが、条件によってはキツイ響きを伴い易いという欠点がある。
BBCモニター群は、他方、公共のどの様な場面でもけっして嫌な音・キツイ響きをを出さないように調教された生まれてきた。良く言えばアンダーステートメント。直截な言葉で言えば、反応の鈍いおとなしい音である。
EMIの音は、本来の英国の音と呼ぶに相応しい、分水嶺として分かれる以前の双方の美点を備えた鳴りの良さがありながら、嫌な音を出す事も無く、且つ十分なレスポンスを備えている。
全てを語る豊かな表現力・饒舌さを備えながら、醸す雰囲気は寡黙で、重厚でありながら軽妙さを備え、鋭く表情を変えると思えば、泰然とした姿勢を崩さない、相反する性質を同時に備えている。敢えて要望を言えば、コーンツィターが更に抜けを備えていれば、最高である。
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商品のコンディション
外観は大きなダメージはありませんが、50年を経ているので細かな瑕疵があります。
ご要望によっては、表面のみ再仕上げも可能です。
ご紹介のスピーカーは 1961年製 EMI DLS-529 でロット番号は、
Serial No, 61.1.943 (木種はローズウッド)
Serial No, 61.1.1753 (木種はオーク?)
仕様
方式 : 2ウェイ・3スピーカー
インピーダンス : 4Ωウーハー : 92390型楕円ウーファー
ツィーター : 99110B 7cmツィーター
ネットワーク : 4500/4型
クロスオーバー帯域 : 4500hz
サイズ :W610×H330×D310mm
重さ(一本) : 16kg
このユニットは年代・ロットで仕上げが異なるのですが、掲載のシステムはユニットの仕上げも同じで同ロットのモノだと思います。突き板の木種が異なります。 個人により異なると思いますが、並べても違和感はありません。 音響的なコンディションは極めて良いです。ネットワークのコンデンサーが若干劣化していますが、あえて現状としています。
EMI DLS-529X アルニコ仕様 1ペアー あります。
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