Shelter の現在を聴く
試聴は、最初にShelter 7000を各システムに取り付けておこなう事とした。
現行品であるShelter 7000が最も良く鳴ったと思われるシステムを選定した上で、同システムに於いて、各モデルの比較をしていきたい。
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Roksan TMS + Artemiz
現行品であるShelter 7000が最も良く鳴ったと思われるシステムを選定した上で、同システムに於いて、各モデルの比較をしていきたい。
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Roksan TMS + Artemiz
全てが中庸で、空間の表出も普通である。総じてバランスには長けている。 必要にして十分な響きを再現しハーモニーも破綻が無い。しかし、音の飛びと云うか遠達性・浸透力が弱く音に迫真さ・凄みの点で物足りない。
以前Artemiz + Shirazを基軸にしてTMSとXerxes 20を比較試聴した時、圧倒的にTMSが優れていた。Xerxes 20単体で聴く分には、過不足の無い鳴りっぷりで、これはと思わせる。ところが、暫く聴いていると、何か物足りなく音楽を聴く充実が得られない。再現されるエアーボリュームが小さく箱庭の様に感じてしまう。
ArtemizはShirazを前提に設計された謂わば専用アームであり、ArtemizはTMSを前提としていると思わせる違いの大きさであった。TMS + Artemiz+Shirazで一つの完結したシステムという事は、この時に聴かせる豊かな表現力と大きな空間の表現力に納得させられる。
この完成度の高いシステムにShelter を取り付けた時、どこと云って不満はないが、上記のように何がしか物足りない結果であった。
原因として考えれれるのは、カンチレバーの動作位置とアームのビポットの位置関係ではないかと考えている。 一般的にロングアームの方が低音域の再現・厚みが豊かとされているが、この要因はこの位置関係によるもので、カートリッジのジオメトリー変位が相対的に少ないためと考えられる。感覚的に、車の場合ロングホイールベースの方が乗り心地が良いのと同じ事情であると言えばわかり好いように思う。
Artemizでは垂直方向のビボット位置はトーンアームパイプのセンターから下方にオフセットさせている。当然オフセット量はShirazに合わせてある。この様にジオメトリーを設定する事により、ショートアームでもロングアームと同程度に変位量を少なくする事ができる。
この特徴は両刃で、条件が合わない時は、デメリットとなるのは機構上仕方がない。
TMS + Artemiz+Shiraz の組み合わせは、ピラミッドバランスの豊かな厚みをもって好事家がEMT927に伍すると評価するのも功を奏した必然の結果なのだろう。
Shelter の場合このジオメトリーがうまくフィットしていないようで、何となく押さえつけられた様な抑圧した鳴り方になってしまう。ウェルテンパードに取り付けた時の方が、しなやかで音楽的な表現力は高い。
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Roksan Xerxes + SME Seriesⅴ + Original Board
分解能は非常に高く、遠達性・浸透力のある音で質量感を伴った音のエナジーが飛んで来る。
十分な調整をしていない(フルイドダンパー未使用)状態では、音像のエッジは少し強められたように感じられる。この点は今後の課題としたいが、この事を差し引いても レスポンスは素晴らしい。
印象として、全体の鳴り方は、自然で違和感をほとんど感じさせない。 特に、個々の楽器や声は、独立した音として明快・明瞭に定位しながら、空間の中で其々の音が響き合いハーモニーが醸成されていく。この様な鳴り方・響き方は、実際のホールやライブハウスの現場にいると錯覚する豊かな再現である。
空間の再現力も広大であり、部屋が飽和する音量でも混濁感はまったく無い。
ダイナミクスの豊かさも相俟って、音楽を聴く幸福感がある。
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Roksan Xerxes + SME 3009 Series 1
Shelter の標準がSMEという事と現代アームの始祖とも言うべき存在でSeries1を選定している。SMEがOrtofon SPUのために製作されたアームである。有名になったSeries2とは異なりアームは肉厚の真鍮或はステンレスで出来ており手に持つとずっしいと重く、各部分の作りに妥協は無い。造形は、アイクマンの審美が徹底され極めて美しい。本日は接点・コネクターの不良で満足な音が出ないので、後日の再トライとしたい。
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