既報の様に、椿事も重なりアップ予定の内容が時期を逸してしまいました。改めて、新年の挨拶を兼ねて記させていただきます。
先日、昼食時に、サライ一月号をパラパラと捲っていたら ”忘れられないこの一枚”という音楽のコラムに目が留まった。寄稿者は元総理大臣 中曽根康弘氏。 どんな事を書いているのか? さしたる興味も無かったのだけれど何となく読み始めたところ・・・
音楽との関わりを、半生の取分け旧制高校時代と戦闘時下のマレーシアで聴いた音楽体験を中心に据えた思い出と共に綴り、その寄稿は次の言葉で結ばれていた。
”人間に完成はない。今も何かを求める気持ちがあるのです。素晴らしい音楽を聴く事は人間修養の一つです。 旧制高校で習った教養主義、人間とは何か、美とは何かを、今も求める気持ちがあるのです”。
齢93歳にしてこの言葉。音楽を聴く事は人間修養か! と唸ってしまった。
政治家としての功罪はさて置き、直裁な人として生への希求は清清しく、深い敬意を覚える。
”音楽を聴く事は人間修養”と言い切った直裁で簡潔な表現は、深く納得のいく言葉である。
そして、ここで語られる”音楽体験”がレコードによって再生された音楽により喚起されている事に刮目する。オーディオの本質を語る上で常に横たわるギャップ”生演奏と再生音楽”は、ここでは易々と解決されている。長年音楽に係わりながら、自問してきた事への、鮮やかな解答を発見したような気分であった。
永く解けなかったパズルが解けたような得心と供に、ここに希求されるに足る”音楽”の充実を再現し得ているかと、更なる自問を得た年の暮れであった。
今年は、より具体的な成果を多くの人々に提供できる事を目標として行きたいと思います。
ブログと共に、本年も宜しくお願いいたします。
ところで ”忘れられないこの一枚”は、
ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」
ルイーゼ・ヘレッツグルーバー(ソプラノ) ロゼッテ・アンダイ(アルト)
ゲオルク・マイクル(テノール) リヒャルト・マイール(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
フェリックス・ワインガルトナー:指揮
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