2012年9月9日日曜日

木鶏たるアナログ #1.2

以前同名のブログを加筆修正し再アップします。
試聴 と考察
今回の試聴では、シェルターとArtemiz の組み合わせは,SME Seriesⅴに大きく水を開けられてしまう結果となってしまった。先のブログで、それはアームのディメンジョンの所為だとしたのだけれども、今までの印象が良かっただけに、今回の結果は納得できないし、釈然としない。その様な結果の原因を考察し、出来れば対応策を考えてみたい。

SME Seriesⅴ で結果の良かったビンテージケーブルに変更するとどの様な変化を示すのか、を皮切りに、一連のトライをしてみようと思っている。その他に見落としている点の洗い出しも含めて、試聴をすることにした。

Artemiz TMSにしか付けれないので、このモデルでの試聴となる。これらのRoksan【ロクサン】の詳細からターンテーブルの現状を確認する事としたい。

カートリッジ   : Shelter【シェルター】 #7000
          : Shelter【シェルター】 #7000H(ハーモニーの振動系)
                         : Shelter【シェルター】 #701H(ハーモニーの振動系)

ターンテーブル : Roksan【ロクサン】 TMS 
アーム      : Roksan【ロクサン】 Artemiz 
アームケーブル : 1920年代 ドイツ製ケーブル
  
             
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ROKSAN TMS vs Xerxes
ロクサンが発売したXerxes マーケットでの成功を期して、発表された特別モデルTMS
基本構造はXerxesを踏襲しており、更にもう一段アブソーバーを追加した構成としている。
高い静粛性と嗜好性を標榜したモデルで、開発者の” 署名 ”をモデル名としている。軸受け・
プラッター・モーターは同等品という事になっているが、精度はより高いモノが選択されているとアナウンスしている。

今回詳細に比較すると、細部の仕上げ・精度は確かにTMSに付属する物の方が高いようだ。モーターの回転時に手に伝わる振動も明らかにTMSの方が小さく柔らかい。プラッターの肌に僅かのツールマークもなく美しい。

軸受けの精度もさらに高められているようで、本国では、TMS相当の軸受けキットもあったようである。カタログでは1μの工作精度を誇るが、実際にセッティングすると、オイル充填の軸受けにシャフトが完全に納まるのに、半日を要するからその精度に疑いは無い。             
Xerxes ではトッププレートの切り欠き部が、沈み込んでターンテーブルと接触する事が度々問題となっている。この問題の解消するためにXerxes 20へとモデルチェンジが行なわれ現在のモデル20plusへと続いている。

TMS には同様の問題が起こったと言うことを聞いたことがない。現に既に10年余を経た当方のTMS は、当初のクリアランスを維持している。材質は共にMDFで厚みも同程度、バインダーの違いなのだろうか?
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話題は少し飛んでしまうが、Roksanの展示・導入を検討していた段階で、当初はXerxes20を入れる予定であった。ところがその印象が全く冴えない。期待をしていただけに”えっ”という感じで随分落胆した覚えがる。変わりにTMSをテストしたところ、期待に違わぬ音に納得という経緯であった。 この時は、単純に上位モデルであるからと良いと思っていたのだけれども、今回オリジナルXerxesを聴いてみると、あの時感じた落胆は無い。基本的なキャラクターが変わった事に、この時気が付いた次第である。何が変わったのだろう?

Roksan【ロクサン】の主張をまとめると、
”トップボードの切り欠きこそがカンチレバーによって発生した振動エネルギーを主因とするターンテーブルとアームによって形成されるループとそれに伴う混変調を、解消するとしていた。
また、重い材料はエネルギーの蓄積が大きく、そのためエネルギーの減衰に時間を要してしまう。エネルギーが停滞するその僅かな時間が音楽の躍動を阻害する”としていた。
そのため重量も比較的軽く適度な剛性のMDFを選択した筈である。重量を重くしないという考え方はハイエンドオーディオに対するアンチテーゼでもあり、彼等の重要なポイントであった。

実際、振動(エネルギー)吸収・拡散は旨く機能していたように思う。軸受けのフランジは極めて小さく作られている。水平を出す為には不都合であっても、振動に関わる質量を僅かでも少なくしたいという表れで質量の低減はそこまで徹底していたと思う。 

             

ところが、TMS Ⅱでは重量のあるアクリル(メタクリレート)に変更した。そして、高価なトップモデルにも拘わらず僅か数年でTMS Ⅲ へとモデルチェンジをしている。この時基材は初代と同じMDFと回帰している。 

現在のモデルでは、切り欠きも形状維持しているが、独立したボードへと変更されている。
この構造では、ロクサンが初期モデルで主張したように、振動モードがループを形成してエネルギーが蓄積してまうのではないのだろうか?独立したデカップラーは設定の自由度があるので、最適化しやすく、外部からの振動はうまく遮断出来るかも知れないが。余計なことかもしれないが、これではトップボードは必要ないのでは。

                    

マグネットフロート・エアーサスペンションのボードがS/Nは良くなっても、押しなべて少し篭ったような音に為るのはこの事情による。あれ程に高い完成度を誇るseries ⅴをもってしてもSME Model30 の評価があまり芳しくないのも同じ事情だろう。ボードの上でジャイロ独楽を廻して手でボードを持ってみればその回転エネルギーを実感できると思う。この同一のボードにアームがある。振動の遮断と蓄積したエネルギーを逃がすというアプローチは似ているようで異なっている。初代Xerxes・TMS がとった構成こそが、他のモデルと一線を画したアドバンテージであったと思う。

                                 

この点から見ても、現行モデルよりも初期のXerxes・TMSの方が、瑞々しく音楽を再現してくれると考えられるし、実際較べれば結果は明らかになるだろう。

回転が遅くなる
ロクサンのプレーヤーでもう一つ問題となるのが、回転が遅くなる(揺れる)スティックスリップという事がザクシーズ輸入当初から一部指摘されていた。ベルトドライブはモーターの振動をターンテーブルに伝えない様に出来る。つまり駆動系が機械的なアコースティックフィルターを形成するのが一番のメリットで、ダイレクトドライブとの一番の違いでもある。 

この現象は、或る条件下でロクサンに顕著というだけで、実はベルトドライブの謂わば宿命ともいえる問題でもある。イナーシャやモーターの問題として語られる事も多いが、どんなにイナーシャを大きくしようが、またモーターを多極のシンクロナスにしようが、DCモーターを正確にドライブしようが、ベルトの実際の動きは伸びたり縮んだりを繰り返しながら回転していると言うことである。この事は本質的欠点とも云うべき、回転波長が長く曖昧な波形変動に表れている。

ロクサンの場合、更にモーター側を回転させる事によって、テンションの変動に対処している。数あるベルトドライブの中に在ってモーター自身を回転させているのは、ロクサンの際立つ特徴だと思う。細かい変動を態々させることにより、ベルトドライブ機に本質的な欠点;長い周期の周波数変動つまりワウを、低減させる工夫をしている。このため常態で僅か回転が遅くなる傾向がある。

ところがこの機能を制御しているのは、一本のスプリングである。共振点が偶然にも合ってしまうと、一定の入力を遮断するはずが、左右に首を振ってしまう様である。この現象は、高橋 荘一氏という無線と実験のオーディオ評論家が、この様に指摘していた”60~120Hzの一定のリズムが繰り返されると、特にロックなどでは、顕著に音が揺れる。確かめてみると、モーターが揺れているようだ”と。

初代のザクシーズは、トップボードもアブソーバーの上に載せているだけで、正確な位置が決められていない。この辺はいい加減なものである。設置の状況では、これらの条件が一致して他の共振を引き起こしてしまう事がある。その時プーリとターンテーブルを繋ぐベルトが細かく振動するのが見える。細かい振動分だけスリップを起しその分回転が遅くなる。正確に云えば揺れる。この現象が起動時だけであれば何ら問題はないのだけれども、音楽の再生中にも実は起こる。

ロクサンを中心にベルトドライブの特徴をまとめた。他のタイプはどうだろうか。
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糸ドライブ
ベルトの伸縮性が問題であるとするなら伸縮性の無い糸ドライブであればどうだろうか。
事情は全く同じで、糸に伸縮性がないため、条件が揃えば変動は小さいかもしれないが、スティックスリップが常時起こる可能性もある。糸は糸電話でも実証されているように十分振動を伝える能力がある。回転力を伝える為に、出来るだけ強く張りたい。また振動を伝えない為に張力を出来るだけ緩く張りたい。このため、モーターの振動を伝えずに駆動する為には、一定のすべりを前提としなければならない。一定のすべりを見越して慣性質量に大きく依存するため、装置はどうしても大きくなる。
伸縮性の無い糸ドライブやアラミドベルトは折角のフィルターの機能を毀損している様に思う。

Lux PD350 はアラミドのまったく伸びがない事を謳って性能向上としていた。ベルトをプーリに掛けるのに、指が切れるのを心配する程のテンションである。強く引っ張られたプーリはモーターを浮かすはずの小さなゴムブッシュを押しつぶしモーターは頑として動かない。あれでは、ダイレクトドライブと何ら変わるところもなく、振動モードが複雑になるだけでメリットは無いと思うのだが。何のためにベルトドライブを選択したのだろうか?
                     
アイドラードライブ
アイドラードライブは、定常状態とスティックスリップ・すべりの問題からみると一番安定している。アイドラーがターンテーブルを効果的にダンプしている事と外周をドライブする事と相まって波形変動の形が比較的綺麗で曖昧さと正確さが上手くバランスしているように思う。音楽を聴かせかたは自然で違和感は少ないが、惜しむらくはSNが問題で繊細な気配のような空気感が再現されない。

Thorens 124&Ⅱ Garrad 301&401 EMT 927&930 名器と称されるモデルが連なるが、納得する音を聴かせてくれる機会は残念ながらなかった。それだけ調整・性能維持が難しいのだろう。可能性は感じるけれども、オリジナル主義があまりに強く辟易とさせられるというのが現在の印象である。当方に各モデルを既にストックしているので次の課題として順次検証してゆきたい。
*EMT 927は未試聴

ダイレクトドライブ
ダイレクトドライブは振動モードの観点から実は一番シンプルで、性能は将にモーターと制御次第である。ベルトドライブが構造的な曖昧さを前提としているのに対して、ダイレクトドライブは正確さを前提としている。金田氏はプレーヤー製作の時に、この両者を比較していて、ベルトドライブが持つスティックスリップ・すべりを指摘していた。実際は既にダイレクトドライブを選択する事が内心決まっていたので、この曖昧さを指摘するに留まりその意味まで言及する事は無かった。

ダイレクトドライブは自己完結型のフィードバック制御である。FG信号を自己発生させこれを基準に速度・位置・位相をコントロールする。そのどれもが、自己基準との比較で、ちょっと基準値より出れば引っこめ遅れればちょっと速めるという作業を繰り返す。回路的には高帰還型アンプそのものである。その結果ワウ波形は極めて少ないが、その波形は必然的にステップ状に重ね合わさり複雑なものと為る。

回転運動が本来持つ滑らかな恒常性や連続性につながる慣性質量はダイレクトドライブ於いては自己矛盾でしかない。回転運動でありながら無限にスラッピングを発生しているようなもので、この意味では、DENONのダイレクトドライブ、その流れを汲むEMTは理に適っている。加えてS/Nの問題もある。

ダイレクトドライブは、チーズを分けるネズミの寓話を思い出させる。
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腹を空かした3匹のネズミ達。 
餌を探してウロウロしていると一番気弱なネズミが丸いチーズを見つけた。
気は弱いけど鼻は効く。仲間思いの彼は、自分で食べる前に仲間のところにいつもの様に律儀に持っていく。チーズを目にしたリーダー格のネズミが云う”俺たちゃ仲間だ。均等だ” 
もう一匹のねずみが空かさず”よっしゃ、俺に任せとけ。きっちり均等に分けてやる、俺たちゃ仲間だ。均等だ”と何の根拠も無いのに自信たっぷりに答えた。

腹も減ってるし、早く分けようぜ。と2番目のネズミは、もうチーズを分け始めていた。 
三つに分けられたチーズはなぜか一つだけわずかに大きい。
リーダー格のネズミは”これだけ少し大きいじゃねーか。 良し、俺がちゃんと均等にしてやる。俺たちゃ仲間だ。均等だ”と云うが早いかそのチーズを少し多めに齧る。

今度は他の二つがわずかに大きい。二匹目のねずみは”こんどは二つ大きいじゃねーか。俺たちゃ仲間だ、均等だ”リーダー格と二番目のねずみはすぐさま少し齧って”どうだ均等か?俺たちゃ仲間だ。均等だ”。・・際限なく続く・・

気が付くとチーズを見つけた気弱なネズミはほんの一欠けらばかりチーズを頬張りながら、なんかいつもこうだなと思いながらも仲間と一緒にいることが嬉しく皆と唱和するのだ”俺たちゃ仲間だ。均等だ”。・・・
                                                
ベルトドライブならさしづめこうだな。
どこに行くのもいつも一緒、もそもそ、ぞろぞろ。チーズを三つに分けたら、大きさが区々に為ってしまった。そんなこたー気にしない。ネズミたちは目の前のチーズを食べた。”俺たちゃ仲間だ。仲好しだ”

戯言は此処までにして、現在主流でもあるベルトドライブを更に調べてみたい。
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Belt Drived Turn Table
ダイレクトドライブやアイドラードライブを抑えてベルトドライブが主流となった。主流に為ったからといってそれが、高性能を意味するわけではない事は世の常である。CDの普及という時代背景と共に、第一にS/Nを比較的容易に得られる事と構造が単純だという事だろう。更に加えて製品のコントロールがし易いため、長期的なコスト負担を強いられない等多くのメリットがある。

では、ベルトドライブが持つ音楽の道具としてのアドバンテージは何か?これを整理しているとネット上に次のような記述があったので引用させて頂く。
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ベルトドライヴは、モーターの振動をベルトを介することによって
ターンテーブル・プラッターに伝わらないようにできることがメリットとされている。
つまり機械的なフィルターが構成されているからである。

この機械的なフィルターを電気回路に置き換えてみると、
モーターとターンテーブル・プラッターの慣性モーメントはインダクタンスに相当し、
ベルトの弾性はコンデンサーになり、ローパス(ハイカット)フィルターを形成していることになる。

このローパスフィルターのカットオフ周波数(共振周波数)は、
モーター、ターンテーブル・プラッターの慣性モーメント、ベルトの等価スティフネス、それにモーターのプーリーとターンテーブル・プラッターの半径によって決る。

ローパスフィルターだから、これらの要素によって決定される周波数以上の振動成分は、
ターンテーブル・プラッターには伝わらない、ということになる。
つまり共振周波数(カットオフ周波数)をできるだけ低く設定できれば、それだけSN比を高くすることができる。

実際にはベルトを柔らかくし、モーター、ターンテーブル・プラッターの慣性モーメントをできるだけ大きくして、モーターのプーリー、ターンテーブル・プラッターを小さくすればいい。
ターンテーブル・プラッターの径はレコードの大きさが決っている以上、30cmよりも小さくするわけにはいかない。

だがリンのLP12、トーレンスのTD125、TD126のように二重ターンテーブル構造にして、
インナーターンテーブルにベルトをかけるという方法で、これは実現できる。
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この記述内容は正直よく分からないので、もう少し調べるつもりだ。等価回路では、遮断周波数は何Hzになるのだろうか、20Hz以下にしたいはずである。インナーターンテーブルでこの数字が達成出来るのだろうか?

ここでのモデルは、定常状態を想定しており、過渡的な状態は考慮されていない。固有振動とスティックスリップである。此処で云う固有振動は上記で言うところのカットオフ周波数ではなく、ベルトその物の振動の事である。

定常状態でプレーヤに接続したワウフラッタメータのワウ波形出力を精査して各ドライブ方式を比較しても実際のところあまり意味は無い。何故なら、プレーヤーは音楽再生時で過渡状態に近い状況が立ち顕れるからである。
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今まで説明したような現象が起こる仕組みを考えてみたい。
ターンテーブルの中に在る振動は、機械的な振動、電気的な振動を取り出すと、

ターンテーブル: 33 1/3r.p.m.
モーター: R2/R1*33(45)
電源 60(50)Hz 
キャビネットの固有振動 ? 
アームの低域遮断特性 : 15Hz前後
ベルトの共振点[静止時] : ? 
ベルトの共振点[動作時] : ? この共振は

この共振点で一番重要なのは勿論アームの下限;15Hz前後である事は再生レンジからも判る。
これを起点に、2次・3次・4次を想定してみると、30Hz・60Hz・120Hz・

アームの共振列  15   30   45   60              
電源の共振列                  60    120    240
モーター           
キャビネット                                 240 
ベルト

ターンテーブル        33 1/3r.p.m.       

小さなプリンス(キャビネット)の中にこれだけの振動・周波数が混在している。状況にも拠るが30Hzを起点にした共振点列を形成しやすい状況にある事は、容易に想像は付く。
電気振動と機械振動を混同していると思われるかもしれない。カートリッジが拾った僅かの振動がモーターやベルトを共振させる事が本当にあるのかと訝る人もあるかも知れない。どうだろう、経験として、車や、家電品などで、何度〆てもネジが緩むという経験をされたようなことが在ると思う。

身の回りで、固有振動と共振の実例を取り上げてみたい。

固有振動
高圧電線の鉄塔を見上げるとケーブルの両端に錘のような物が付いているのをご存知だろうか?下の写真にあるトーショナルダンパーの事である。微風振動抑制用と書いてある。

微風?ほんの僅かな風やケーブルの上に積もった雪が落ちる時に、僅かに揺れる。この揺れを抑えるのである。なぜ振動を抑えるのかといえば、この僅かな振動がトリガーとなって自己振動を起し結果鉄塔の倒壊に到ってしまうからである。事実落雪する雪が原因となって一晩で50数基に及ぶ鉄塔が倒壊した事があった。僅かな振動でも固有振動が共振状態に為ると、そのエネルギーは間段無く供給されるので、抑制は難しい。条件は明確なので、固有振動数は簡単に算出出来るのだが、この小さなダンパーで固有振動を抑えれる事は、驚きである。

微風振動抑制用トーショナルダンパ:微風によって電線が揺らされ、電線が持つ固有振動周波数と共振して大きな振動にならないよう、振動エネルギーを吸収するための錘。茄子型で金属棒を介して反対向きに取り付けてある。
              

最新のOracle Delpfi ⅵがこの問題にMVSS(前述のトーショナルダンパと全く同じ考えの)機構を搭載して 対処をしている。微振動の対策は全体への影響が大きく、音の変化を期待させる。一般にサスペンションモデルは一度振動を始めると収束するまでフワフワとして時間を要するのが欠点の一つであるが、ロクサンと同じようにすぐさま振動が止まるという事だからこの点からも、完成度の高さを窺わせる。いつのまにか6代目となり基本デザインは踏襲しているのに、凝縮力のある良い雰囲気のモデルに変貌して、今もっとも気になるモデルの1つである。

              Image
オラクルカタログから              
MVSS (Micro Vibration Stabilizer System)
従来のオラクル・サスペンション・システムの効果的な能力を生かしながら、サブシャーシに存在するマイクロバイブレーションを排除する。この難題をクリアしたのがマイクロ・バイブレーション・スタビライザー・システムです。低粘性シリコンオイルを用いたこのシステムは、サブシャーシはもちろんのこと、プラッター、アーム、カートリッジに伝わる僅かな振動を完全に排除します。その効果はサウンドの安定性に全帯域で大きな改善をもたらします。 

もう一つの例が時計である。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------レゾナンス
                                reso-bk03.jpg
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レゾナンス・クロノメーターのムーブメントは、香箱からテンプに至る輪列を左右対称に2つ配置したものです。

2つ並べられたテンプは互いに生み出す共振現象によって精度が安定するという、ミステリアスな仕組み。実際にモノを手にするまでは、本当に共振するのか、共振によって精度が安定するのは本当か、半信半疑でした。
共振の源は、振り座の【振り石】とアンクルの【ハコ】が衝突する際に生じる振動(音)という話がありますが・・・!?

もちろん、モノを手にしてマジマジと眺めることのできる今もこのミステリアスな仕組みを我がものにすることはできていないのですが、素晴らしい現象は簡単に体験することができました。
 
2つの独立したテンプによって調速されるはずの輪列。相互に影響を与えていないとすると、当然のことながら2つの秒針に誤差が生じるはずです。

しかし、今回の測定のため20日以上連続して動かした私のレゾナンス、最初に合わせた秒針(※)は、20日間経過後もピッタリと揃って6ビートを刻んでいました。2つのテンプが相互に影響を与えているのは間違いなさそうです。
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ベルトドライブの良さ
事ほど然様に振動・共振は不思議なもので、大雑把な言い方をすれば、物はきっかけさえ在れば共振すると云えるのかも知れない。

ベルトドライブは、その単純な構成の中に複雑な振動モードを持っている。きっちりと造れば造るほどに複雑さは、抜き差しなら無いものになってしまう。
慣性質量を増やす。モーターのトルクを増減する。糸ドライブにする。キャビネットの振動対策をする。キャビネットを取り払う。
一つの選択・一つの解決は直ちに別の問題として顕れてくる。光と影のように明るい光は、深い影の中にある。

ベルトドライブのモーター波形を測定していると、アコースティックフィードバックの影響も受けやすく、エアコンの風でさえも影響があるそうだ。これにカートリッジのダイナミックな負荷が加わる。レコードプレーヤでは、複雑な振動も相互に影響しあう。こういった状況の中で、ベルトドライブの曖昧さこそが、アドバンテージとなる。

最初から曖昧さを前提としているため、乱れがあってもベルトドライブはそれら外乱を許容出来る曖昧さの範囲の中に受け入れ、緩やかな変化としていなしてしまう。これこそが、ベルトドライブの良さであり、曖昧さを必要以上に対策しない事によって活き活きとした再現が可能な事にロクサンは気づいていたのだろうと思う。

前述の音が揺れる現象は、ザクシーズ輸入当初から一部指摘されていたが、今だ対処はされていない。この現象は滅多に再現しないし、100のうちにある一つに対応して残りの99が間引かれるのではなく、1を捨てて99の充実を選択したのだろう。余分な機構はそれだけ振動モードを汚す可能性も高いので、敢えて無視しているのだと思う。

ベルトドライブプレーヤーの中で、ロクサンが一線を画して音楽が楽しめるとするならば、それは、機械的な逃げと共に曖昧さをコントロールしているからである。

では、その初期Xerxes・TMSを比較すると・・・
TMSがやはり生命感の再現に長けていると思う。
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