前回の続きです。
オルタナティブタイプ
最初に送られてきたカートリッジは、本調子では無い事が判りその顛末を試聴記とした。前回お伝えしたように暫定的に針圧1gに設定した。この状態様々な年代のレコード・ジャンルを掛けてみたがまったく破綻はなく抜群のトレースを示したのであった。
しかし、DS Audioから”正常なモノではない事から交換する”とメールと共に数日後、新規のカートリッジが送られてきた。通常の生産ケージュルールではなく製作していただいた様で、早急の対応に感謝したい。
ピュアオーディオではMC型、特にオルトフォンタイプがカートリッジの主流を成している事は論を待たない。一方では、その潮流には組しないカートリッジが存在する。
一方では、付随的根本的に存在する問題点を克服しようと音質を追及したオルトフォンタイプではないモデルも過去には様々な製品・開発がされた。
DS Audio DS001 光電式カートリッジもそういったカテゴリーの一つであり、一つの挑戦である。ここでは主流であるオルトフォン式の問題点を克服しようと試みたモデルをオルタナティブタイプとした。代表的なモデルは大半が日本製で他にも特徴的なオルタナティブタイプの概略を見てみたい。各資料はネット上から収集したものです。
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オルタナティブの系譜
技術的なアドバンテージが有ったとしても、縮小するマーケットを考えれば広く支持を得ることは出来ずにビジネスとして成立させる事が難しい。オルタナティブの試みは80年代のCDの誕生と相前後して見られなくなった。特に近年はリスクを避ける意味も有ってオルトフォンタイプに収斂している。
オルタナティブの特徴・開発の目標を一括りにすると、MC型 MM型の構造的な限界をブレークスルーする事:微小領域のリニアリティーの向上を目指したと言える。具体的には、振動系の軽量化、もう一点は磁石の持つ微少領域でのリニアリティーの改善あるいは磁気を利用しない事が目指すべき技術的なターゲットとしていた。
STAX CP-X #1/#2
http://www.minor-audio.com/bibou/NO-NFB_EQ/CC.html
Jewel TONE JT-3 #1
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDnagaoka/NAGAOKA.html
Satin M-21 #1
http://www2.masashi.ne.jp/ohta/satin/m2/m24.html
Victor MC-L1000 #1
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDVICTOR/MC-L1000.html
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDVICTOR/victorindex.html
振動系の軽量化 #1
10オクターブにわたる帯域を再生するカートリッジの振動系は軽いほど、確実に音質向上に資する事は感覚的にも判りやすい。カートリッジメーカーはトラッキングアビリティーの向上とも繫がるのでこの軽量化には日本のテクニクスやヤマハは取分け熱心であった。軽量化の代表機種を以下に示す。
http://blogs.yahoo.co.jp/giovanni_xxiv/54833506.html?from=relatedCat
Technics EPC-100Cmk3 振動子実効質量 0.098mg
YAMAHA MC-2000 0.059mg
DL-1000A 0.077mg
Victor MC-L1000 0.35mg
振動子実効質量という定義がカタログだけでははっきりしないが、仮想ピボットからスタイラスまでの距離と振動子重量+スタイラス重量の積;モーメントに依存する。振動子実効質量は裸のカンチレバーの重量を意味していると考えられる。今あらためてこれらの数字を見ると、その凄まじい成果に驚愕する。
コンデンサー型・光電型カートリッジは後述するように構造的に軽量である事をメリットとしているが、コンベンショナルなカートリッジもここに示すように驚異的な軽量化を達成しているため、実際のアドバンテージはそれ程大きくは無いと考えられる。
総じて、振動系の軽量化に取り組んだカートリッジは、音は繊細であるがバランス的に高域よりであると評されることが多かったように思う。軽針圧のモデルは透明感は高く繊細な分解能に優れるが中低音の厚みが足りないと評されることが多い。
カンチレバーの功罪は、当初より盛んに喧伝されたがこの思想を推進めると波束分散理論を引提げてダイナベクターカラットシリーズでダイレクトカップルと呼んでも差し障りの無いカンチレバー1.7mm 更にダイアモンドカンチレバー1.3mmを採用したモデルを発表した。最近ではXV-1sなど極端に短いカンチレバーは採用していない。
極小の振動系とダイアモンドカンチレバーの採用で究めたかに見えたカラットシリーズは「うるささやきつさ」が指摘された。ダイナベクターはその要因を磁石の内部磁気抵抗・MCカートリッジの磁気回路のエアギャップ内でのアマチュアの動きと、それをとり囲む磁気ヨークとの問に発生する磁気的干渉によって生じる磁束(フラックス)変動が再生音に大きな影響を与えるとしてフラックスダンパー/ソフト化マグネットを採用しこの技術は今に至っている。
この現状から、音への影響はダイレクトカップルよりも磁気回路の改善が有効と考えている推察する。
http://www.dynavector.co.jp/dvcart/frame_cart/frame.html
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDDynavector/KaratNova13D.html
この追求は、一連のダイレクトカップル:Victor カンチレバーレス:Ikedaへと到る。
最近イケダカートリッジもダイレクトカップル カンチレバーレスをカタログから消えている。スタイラスには常時変動しながらレコードの回転に伴う力が働くため振動系のダンパーの何処かをピボットとして前後に振動する事になり安定して動作させる事は難しかったのだろう。
Victor MC-L1000 は長岡氏の高い評価を得て彼のレファレンスとなっていた事もあり今だ人気がある。長岡氏の言葉を借りると『物理特性を極限まで追求すると、そこに音楽性が出てくる』とまで表現された。当時音楽性が無いと揶揄された日本オーディオの溜飲を下げる痺れるコメントだが、物理特性が極限まで追求されたかは今日見直すと疑問のあるところだ。
スタイラスには、ターンテーブルの回転によりにより斜め方向に引っ張られる力が発生する。イケダカートリッジの純粋なダイレクトカップルでは、この力にサスペンションで対応しようとしたが上手く機能させることが出来なかった。Victor MC-L1000/ダイナベクターカラットシリーズは、カンチレバーを介する事によりダイレクトカップル動作の安定性という点では、イケダカートリッジのような不安定さは無い。
Victor MC-L1000はスタイラスの真上にコイルを配して、将に直結としてダイレクトカップルを売り物にしているが、慣性モーメントでは不利な構造で過度特性は高域になるほど不利になる。カンチレバーの撓りを避けるために選択したダイレクトカップルは、意図どうりの正確に駆動性能を達成するにはカンチレバーの撓りの影響はコンベンショナルな物以上に顕著で、釣竿の先に錘をつけたときの挙動を見れば直ちに理解できる事である。
機械インピーダンスを考慮するともっとも効果的な形状は円錐形である事がわかっている。この影響を軽減するの選択が強固でカンチレバーの固有振動を排除した、写真にあるベリリウムテーパードカンチレバーである。剛性を高めるため中心部も更にベリリウムをテーパーにしている。
多くのカンチレバーを見てきたが、ここまでテーパー比があり堅牢(に見える)なモノは記憶に無い。軽量で・音の伝播速度音速が速く・最適な形状を与えれたカンチレバーば、可聴帯域に於いてほぼ共振・反共振の影響を回避でき撓りがほぼない理想的なモノである。
Victor MC-L1000が他に優れて鮮度の高い音を表現し得たのはダイレクトカップルであるためというよりもこのカンチレバー故と云えるのではないだろうか。
更に云えば、ダイレクトカップルのコイルを安定駆動する単なるガイドであるはずのカンチレバーは、皮肉な事にコンベンショナルなカンチレバーとしても理想的なモノであり、わざわざ慣性質量が重くなるダイレクトカップルでは無くコイルをダンパー近傍に備えたオルトフォンの形状の方が良くなってしまう。
後日、このカートリッジに変わる物・超えた物として長岡氏は、オルトフォンRhomannを推している。
針先の動きとコイルの動きを完全に一致させるダイレクトカップルという構成が必ずしも最良の解ではないという事を、ある時期に気付き示唆しているという事ではなかったろうか。実際にVictor MC-L1000の開発陣が新たに作ったカートリッジはコンベンショナルなオルトフォンタイプである。
磁気回路に於いても疑問がある。カンチレバーを擁したダイレクトカップル故にコイルは円周軌道は大きくなり磁気ギャップは必然的に大きくせざる得ない。このため磁気効率は落ちリニアリティーが損われる。この点Satin・Jewel TONE は所定の磁気ギャップ内を並行軌道を描くように工夫され洗練された磁気回路を備えていた。
ダイレクトカップルの派生モデルSatin 程カッターヘッド相似に執心した精密感溢れるカートリッジは無いだろう。サスペンションの構造、ピボットの明確化、コイルの並行、磁気ギャップの均一などその精密さは他の追随を許さない精緻なモノである。残念ながら音に反映されてはいなかったと思う。これらのカートリッジを今一度調べて見ると、執念とも云える情熱と飽くなき技術の探求を感じる。しかし残念な事にその努力と成果はあまり報われる事はなかったように思う。
ダイレクトカップルの今日的評価としては、感覚的・セールスでの訴求要素以上のものは無いといえるのではないだろうか。
電気的リニアリティーの改善 #2
オルタナティブのもう一つの特徴は磁気回路からの開放を目指した。具体的には残留磁束・バルクハウゼン効果など磁石では避けることが出来ない微少領域でのノンリニアーな特性を回避する事により微少領域迄リニアリティーを改善・拡大する。
オルタナティブの特徴 #1/#2を備えた形式は、速度比例型では磁石を使用したリボン型と振幅比例型のコンデンサー型・光電式である。振幅比例型は、イコライザーアンプの構成からすると大きな利点もある。
振幅比例型
負帰還の是非は、オーディオを語る上で大きなポイントで負帰還の肯定派であっても低域と高域で負帰還量が大きく異なるのは出来れば避けたい状況ではある。この点から見ても振幅比例型は大きなメリットがあると考えられる。
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コンデンサー型カートリッジ vs 光電型カートリッジ
コンデンサー型・光電式カートリッジは、前述した二つの特徴を備えオルタナティブタイプを代表する。形式はコンデンサー型・光電式の振幅比例型。カンチレバーにアルミニウムの小さなシャッターのみで構成される振動系は極限まで軽量化されている。
この両者の構成は極めて近い物がある。コンデンサー型との差異から光電式の特徴がより明確になるのでコンデンサー型の特徴を見てみたい。
こちらのサイトでは、コンデンサー型の特徴に詳しくその中で振幅比例型について纏められているので引用させて頂いた。
振幅比例型
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4.無理のないイコライザー特性
通常の電磁型カートリッジはカンチレバーの速度に比例した信号を出力する。RIAA規格(に限らず)はこの電磁型カートリッジの出力特性と録音の都合の折り合いをつけるために定められている(というような講釈はこのようなページを覗く皆さんには御不要とは思いますが、縁起物(?)ということで…(^^;)。
もしレコードに、得られる出力がすべての周波数帯域でフラットになるように録音しようとするなら、速度比例型カートリッジが相手であれば、低域になるほど大振幅のカッティングが必要となる。これでは長時間の録音が出来ず現実的でないし、そもそもトレースできるカートリッジやアームを造ることも困難だろう。
そこで、低域の振幅を押さえて録音し、出力信号は逆に低域が上昇した、というより高域が減衰した特性のイコライザーを通して再生すれば辻褄が合う、というわけだ。
一方、コンデンサー型の出力はカンチレバーの振幅(変位)に比例し、この場合イコライザー特性は低域減衰型のカーブとなる。この低域減衰の度合が電磁型すなわち速度比例型での高域の減衰率と較べると大幅に軽いのである。
電磁型用のRIAAイコライザーでは、20Hzから20kHzまでで実に39dBのゲイン差が必要となるが、コンデンサー型の場合はこれがたったの21dBで済む。50-20kHzで見るなら12.5dBほどに過ぎない。20-20kHzで単純比較しても、その差は実に18dBということになる。つまり、そのぶんコンデンサー型はイコライザーアンプの動作に無理がない。S/Nやダイナミックレンジの点を含めて現実的に考慮すると、総合的にはコンデンサー型は電磁型よりも10倍くらいは有利と思われる(RF変調方式では変復調系の性能も関わってくるが)。
下に電磁型、コンデンサー型それぞれのイコライザーカーブを示す。ともにCR型の回路でシミュレーションした結果だ(したがって僅かに偏差はある)。縮小したのでややつぶれて見にくくなってしまったが、その違いは一目瞭然だろう。縦軸は電磁型のほうが10dBきざみ、コンデンサー型のほうは5dBきざみで表示されているが、どちらのグラフもスケールは同じである。
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詳細が判っていないのでカートリッジ・イコイライザーの入出力特性が異なっているのかも知れない。光電型は、負帰還量を少なく出来るのであれば好ましいようにも思う。
ではそれぞれの特徴を併記してみよう。
コンデンサー型カートリッジ特徴を抜粋
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コンデンサー型のメリット
1.余分な質量付加のないカンチレバー
2.スタイラス直近での信号変換
3.磁気歪みフリー
4.振幅比例型という特性から来る無理のないイコライザー特性
S/Nやダイナミックレンジの点を含めて現実的に考慮すると、総合的には光電型は電磁型より
も10倍くらいは有利と思われる。
デメリット(弁護付き)
1(a).変調・復調におけるリニアリティ(高周波変調型)
改めて今回送られてきたDS Audio DS001のレビューをしてみたい。
音の印象
前回記した音の印象は、本来のモノではない状態での試聴であった。
暫定的な針圧 1gでも安定感のあるトレース能力を示し破綻なく音楽を再現してくれるのではあるが、件の現象が再発するのではないかと何処か安心して音楽を聴く事が出来無かったのも事実であった。
今回、新たに届いたカートリッジは(針圧1.5g(推薦値):以降カートリッジB)にセットして試聴を始めた。危惧した現象は微塵もない事を確認し、LP二枚ほどを馴らしのために掛けておいた。
当然の如く、前回聴かせてくれた特徴はそのままに更に安定したエネルギーバランスである。
前回固体(針圧 1g:以降カートリッジA)でも個々の音に強調感が感じられず小さな音も大きな音も鋭い音も柔らかい音もスムーズに再現してしまう。
今迄であれば音色感や質感が変わってしまうところでもそういった変化を見せない。それがために一層耳に感じる強調感が無いため”当たり前”に聴こえてしまう。
この強調感の無さに加えてカートリッジBでは安定したトレースからワイドレンジを強調しないバランスは、音楽の表情を一層際立たせている。
特徴の一つである振動系の軽さも、聴感上でも強調感が無く”当たり前”に再現してしまうので目の覚めるようなレスポンスを期待すると拍子抜けしてしまう程である。
音場感も一際透明感があると期待したのだが、そうではなかった。今までのコンベンショナルなカートリッジと決定的に異なるのはこの音場感であり空気感であるかも知れないと様々なレコードを聴いて思い至った。
コンサート会場などの扉を開けた瞬間を思い出していただきたい。空間の持つ空気量に圧倒される。あの感じ。
エッジ感・強調感が無いため遠達性は今一つの感じもあったが、圧倒的に伸びている低域の特徴なのか質量感の再現も不足は無い。
全体の印象としては、コンベンショナルなカートリッジと比較するとエッジ感・強調感が無いためにコントラストが小さく感じられるかも知れないが実際は断続的な変化も緻密に再現していることが解る。
音が緻密な階層を成す空間は、スペックから予想するような透明感にすぐる軽針圧タイプの音ではなく、全域に過不足の無い整った帯域バランスを基調として幾重にも細かな音が重なり合うテクスチャーは、喩えが適切ではないかもしれないが、コダクローム64の色調・質感を思い出していた。
前回の試聴記では、”静けさ”を望むと記したのだけれども、低容量ケーブルを採用し追い込んでいくと、静かさも実は小さな音の積み重なりであると知らしめてくれる。詳細は後日に。
コンベンショナルなMCが音を再現しようとするならば、オルタナティブカートリッジは空気を再現しようとしていると言えるかも知れない。
最も苦手とするのは腰の据わった響の厚みであり、ジャズの特にブルーノートの音ではないだろうか。
Blue Note
ブルーノートの音 アートブレーキージャズメッセンジャーズ カフェボヘミア
オルタナティブタイプ
最初に送られてきたカートリッジは、本調子では無い事が判りその顛末を試聴記とした。前回お伝えしたように暫定的に針圧1gに設定した。この状態様々な年代のレコード・ジャンルを掛けてみたがまったく破綻はなく抜群のトレースを示したのであった。
しかし、DS Audioから”正常なモノではない事から交換する”とメールと共に数日後、新規のカートリッジが送られてきた。通常の生産ケージュルールではなく製作していただいた様で、早急の対応に感謝したい。
ピュアオーディオではMC型、特にオルトフォンタイプがカートリッジの主流を成している事は論を待たない。一方では、その潮流には組しないカートリッジが存在する。
一方では、付随的根本的に存在する問題点を克服しようと音質を追及したオルトフォンタイプではないモデルも過去には様々な製品・開発がされた。
DS Audio DS001 光電式カートリッジもそういったカテゴリーの一つであり、一つの挑戦である。ここでは主流であるオルトフォン式の問題点を克服しようと試みたモデルをオルタナティブタイプとした。代表的なモデルは大半が日本製で他にも特徴的なオルタナティブタイプの概略を見てみたい。各資料はネット上から収集したものです。
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オルタナティブの系譜
技術的なアドバンテージが有ったとしても、縮小するマーケットを考えれば広く支持を得ることは出来ずにビジネスとして成立させる事が難しい。オルタナティブの試みは80年代のCDの誕生と相前後して見られなくなった。特に近年はリスクを避ける意味も有ってオルトフォンタイプに収斂している。
オルタナティブの特徴・開発の目標を一括りにすると、MC型 MM型の構造的な限界をブレークスルーする事:微小領域のリニアリティーの向上を目指したと言える。具体的には、振動系の軽量化、もう一点は磁石の持つ微少領域でのリニアリティーの改善あるいは磁気を利用しない事が目指すべき技術的なターゲットとしていた。
- 振動系の軽量化 #1
- 電気的リニアリティーの改善 #2
STAX CP-X #1/#2
コンデンサーカートリッジ
http://web3.incl.ne.jp/tetsu/c5others/ot_ccmrt.htmlhttp://www.minor-audio.com/bibou/NO-NFB_EQ/CC.html
Jewel TONE JT-3 #1
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDnagaoka/NAGAOKA.html
Satin M-21 #1
http://www2.masashi.ne.jp/ohta/satin/m2/m24.html
M-117 18 21も同構造 |
Victor MC-L1000 #1
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDVICTOR/MC-L1000.html
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDVICTOR/victorindex.html
振動系の軽量化 #1
10オクターブにわたる帯域を再生するカートリッジの振動系は軽いほど、確実に音質向上に資する事は感覚的にも判りやすい。カートリッジメーカーはトラッキングアビリティーの向上とも繫がるのでこの軽量化には日本のテクニクスやヤマハは取分け熱心であった。軽量化の代表機種を以下に示す。
http://blogs.yahoo.co.jp/giovanni_xxiv/54833506.html?from=relatedCat
Technics EPC-100Cmk3 振動子実効質量 0.098mg
YAMAHA MC-2000 0.059mg
DL-1000A 0.077mg
Victor MC-L1000 0.35mg
振動子実効質量という定義がカタログだけでははっきりしないが、仮想ピボットからスタイラスまでの距離と振動子重量+スタイラス重量の積;モーメントに依存する。振動子実効質量は裸のカンチレバーの重量を意味していると考えられる。今あらためてこれらの数字を見ると、その凄まじい成果に驚愕する。
コンデンサー型・光電型カートリッジは後述するように構造的に軽量である事をメリットとしているが、コンベンショナルなカートリッジもここに示すように驚異的な軽量化を達成しているため、実際のアドバンテージはそれ程大きくは無いと考えられる。
総じて、振動系の軽量化に取り組んだカートリッジは、音は繊細であるがバランス的に高域よりであると評されることが多かったように思う。軽針圧のモデルは透明感は高く繊細な分解能に優れるが中低音の厚みが足りないと評されることが多い。
カンチレバーの功罪は、当初より盛んに喧伝されたがこの思想を推進めると波束分散理論を引提げてダイナベクターカラットシリーズでダイレクトカップルと呼んでも差し障りの無いカンチレバー1.7mm 更にダイアモンドカンチレバー1.3mmを採用したモデルを発表した。最近ではXV-1sなど極端に短いカンチレバーは採用していない。
極小の振動系とダイアモンドカンチレバーの採用で究めたかに見えたカラットシリーズは「うるささやきつさ」が指摘された。ダイナベクターはその要因を磁石の内部磁気抵抗・MCカートリッジの磁気回路のエアギャップ内でのアマチュアの動きと、それをとり囲む磁気ヨークとの問に発生する磁気的干渉によって生じる磁束(フラックス)変動が再生音に大きな影響を与えるとしてフラックスダンパー/ソフト化マグネットを採用しこの技術は今に至っている。
この現状から、音への影響はダイレクトカップルよりも磁気回路の改善が有効と考えている推察する。
http://www.dynavector.co.jp/dvcart/frame_cart/frame.html
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/needie/NDDynavector/KaratNova13D.html
この追求は、一連のダイレクトカップル:Victor カンチレバーレス:Ikedaへと到る。
最近イケダカートリッジもダイレクトカップル カンチレバーレスをカタログから消えている。スタイラスには常時変動しながらレコードの回転に伴う力が働くため振動系のダンパーの何処かをピボットとして前後に振動する事になり安定して動作させる事は難しかったのだろう。
旧 イケダカートリッジ ダイレクトカップル カンチレバーレス |
新 イケダカートリッジ カンチレバー式 |
Victor MC-L1000 は長岡氏の高い評価を得て彼のレファレンスとなっていた事もあり今だ人気がある。長岡氏の言葉を借りると『物理特性を極限まで追求すると、そこに音楽性が出てくる』とまで表現された。当時音楽性が無いと揶揄された日本オーディオの溜飲を下げる痺れるコメントだが、物理特性が極限まで追求されたかは今日見直すと疑問のあるところだ。
スタイラスには、ターンテーブルの回転によりにより斜め方向に引っ張られる力が発生する。イケダカートリッジの純粋なダイレクトカップルでは、この力にサスペンションで対応しようとしたが上手く機能させることが出来なかった。Victor MC-L1000/ダイナベクターカラットシリーズは、カンチレバーを介する事によりダイレクトカップル動作の安定性という点では、イケダカートリッジのような不安定さは無い。
Victor MC-L1000はスタイラスの真上にコイルを配して、将に直結としてダイレクトカップルを売り物にしているが、慣性モーメントでは不利な構造で過度特性は高域になるほど不利になる。カンチレバーの撓りを避けるために選択したダイレクトカップルは、意図どうりの正確に駆動性能を達成するにはカンチレバーの撓りの影響はコンベンショナルな物以上に顕著で、釣竿の先に錘をつけたときの挙動を見れば直ちに理解できる事である。
機械インピーダンスを考慮するともっとも効果的な形状は円錐形である事がわかっている。この影響を軽減するの選択が強固でカンチレバーの固有振動を排除した、写真にあるベリリウムテーパードカンチレバーである。剛性を高めるため中心部も更にベリリウムをテーパーにしている。
多くのカンチレバーを見てきたが、ここまでテーパー比があり堅牢(に見える)なモノは記憶に無い。軽量で・音の伝播速度音速が速く・最適な形状を与えれたカンチレバーば、可聴帯域に於いてほぼ共振・反共振の影響を回避でき撓りがほぼない理想的なモノである。
Victor MC-L1000が他に優れて鮮度の高い音を表現し得たのはダイレクトカップルであるためというよりもこのカンチレバー故と云えるのではないだろうか。
更に云えば、ダイレクトカップルのコイルを安定駆動する単なるガイドであるはずのカンチレバーは、皮肉な事にコンベンショナルなカンチレバーとしても理想的なモノであり、わざわざ慣性質量が重くなるダイレクトカップルでは無くコイルをダンパー近傍に備えたオルトフォンの形状の方が良くなってしまう。
後日、このカートリッジに変わる物・超えた物として長岡氏は、オルトフォンRhomannを推している。
針先の動きとコイルの動きを完全に一致させるダイレクトカップルという構成が必ずしも最良の解ではないという事を、ある時期に気付き示唆しているという事ではなかったろうか。実際にVictor MC-L1000の開発陣が新たに作ったカートリッジはコンベンショナルなオルトフォンタイプである。
磁気回路に於いても疑問がある。カンチレバーを擁したダイレクトカップル故にコイルは円周軌道は大きくなり磁気ギャップは必然的に大きくせざる得ない。このため磁気効率は落ちリニアリティーが損われる。この点Satin・Jewel TONE は所定の磁気ギャップ内を並行軌道を描くように工夫され洗練された磁気回路を備えていた。
ダイレクトカップルの派生モデルSatin 程カッターヘッド相似に執心した精密感溢れるカートリッジは無いだろう。サスペンションの構造、ピボットの明確化、コイルの並行、磁気ギャップの均一などその精密さは他の追随を許さない精緻なモノである。残念ながら音に反映されてはいなかったと思う。これらのカートリッジを今一度調べて見ると、執念とも云える情熱と飽くなき技術の探求を感じる。しかし残念な事にその努力と成果はあまり報われる事はなかったように思う。
ダイレクトカップルの今日的評価としては、感覚的・セールスでの訴求要素以上のものは無いといえるのではないだろうか。
オルタナティブのもう一つの特徴は磁気回路からの開放を目指した。具体的には残留磁束・バルクハウゼン効果など磁石では避けることが出来ない微少領域でのノンリニアーな特性を回避する事により微少領域迄リニアリティーを改善・拡大する。
オルタナティブの特徴 #1/#2を備えた形式は、速度比例型では磁石を使用したリボン型と振幅比例型のコンデンサー型・光電式である。振幅比例型は、イコライザーアンプの構成からすると大きな利点もある。
振幅比例型
光カートリッジ原理説明資料より抜粋
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光カートリッジ利点説明
①振幅比例型発電機構であるためイコイライザーのフラット化が図れる。光カートリッジは振幅比例型発電機構であり、MM/MC 型の速度比例型発電機構とは発電方式が異なります。
仮に 15Hz~20KHz にかけて 1 の大きさの振幅が刻まれていたレコードがあったとすると、速度比例型発電機構でトレースした場合図 1 の赤線のように出力電圧が右肩上がりに増加してしまいます。これは同じ振幅であってもコイルの中で磁石を早く動かせば動かすほど出力電圧が大きくなる=速度に比例した出力が得られることから、MM/MC カートリッジは速度比例型発電機構と言われています。
これに対し光カートリッジは振幅比例型発電機構といい 15Hz~20KHz にかけて 1 の大きさの振幅が刻まれていたレコードがあったとすると、そこをトレースした場合に得られる出力は常に 1 となり完全にフラットな出力が得られます。(図 1 の青色の線)
(注意;レコードに対してはフラットな出力をするがイコイライザーが不要な訳ではありません)。
このように光カートリッジやコンデンサ型カートリッジは振幅に比例した出力が得られることから振幅比例型カートリッジと呼ばれています3
速度比例型発電機構をもつカートリッジと振幅比例型発電機構をもつカートリッジの最も大きな違いは図1のような出力の出方の違いによりイコイライザー回路が異なってくる点です。
まず速度比例方式の場合は低音部分を多く持ち上げ高音部分を下げるといったイコイライザーの調整が必要になってきます。
この場合の低音部と高音部の電圧差は約 40dB と 100 倍程の電圧差が出てしまいます。
これに対し振幅比例型カートリッジのイコイライザーの場合両者の差は約 10dB 程度と電圧差は 3 倍程度と圧倒的に少なくなっています。
振幅比例型発電機構の場合はレコードの振幅をそのまま出力するため、図の通りイコイライザーによる修正が極めてフラットに近いという利点があります。(注意;イコイライザーの修正が全く不要な訳ではありません)。
このように発電方式の違いによりイコイライザーの設計も異なり、光カートリッジのような振幅比例型発電機構の場合のイコイライザーは修正が極めて少ないため、より鮮度の高い情報の取り出しが可能になります。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------光カートリッジ利点説明
①振幅比例型発電機構であるためイコイライザーのフラット化が図れる。光カートリッジは振幅比例型発電機構であり、MM/MC 型の速度比例型発電機構とは発電方式が異なります。
仮に 15Hz~20KHz にかけて 1 の大きさの振幅が刻まれていたレコードがあったとすると、速度比例型発電機構でトレースした場合図 1 の赤線のように出力電圧が右肩上がりに増加してしまいます。これは同じ振幅であってもコイルの中で磁石を早く動かせば動かすほど出力電圧が大きくなる=速度に比例した出力が得られることから、MM/MC カートリッジは速度比例型発電機構と言われています。
これに対し光カートリッジは振幅比例型発電機構といい 15Hz~20KHz にかけて 1 の大きさの振幅が刻まれていたレコードがあったとすると、そこをトレースした場合に得られる出力は常に 1 となり完全にフラットな出力が得られます。(図 1 の青色の線)
(注意;レコードに対してはフラットな出力をするがイコイライザーが不要な訳ではありません)。
このように光カートリッジやコンデンサ型カートリッジは振幅に比例した出力が得られることから振幅比例型カートリッジと呼ばれています3
速度比例型発電機構をもつカートリッジと振幅比例型発電機構をもつカートリッジの最も大きな違いは図1のような出力の出方の違いによりイコイライザー回路が異なってくる点です。
まず速度比例方式の場合は低音部分を多く持ち上げ高音部分を下げるといったイコイライザーの調整が必要になってきます。
この場合の低音部と高音部の電圧差は約 40dB と 100 倍程の電圧差が出てしまいます。
これに対し振幅比例型カートリッジのイコイライザーの場合両者の差は約 10dB 程度と電圧差は 3 倍程度と圧倒的に少なくなっています。
振幅比例型発電機構の場合はレコードの振幅をそのまま出力するため、図の通りイコイライザーによる修正が極めてフラットに近いという利点があります。(注意;イコイライザーの修正が全く不要な訳ではありません)。
このように発電方式の違いによりイコイライザーの設計も異なり、光カートリッジのような振幅比例型発電機構の場合のイコイライザーは修正が極めて少ないため、より鮮度の高い情報の取り出しが可能になります。
負帰還の是非は、オーディオを語る上で大きなポイントで負帰還の肯定派であっても低域と高域で負帰還量が大きく異なるのは出来れば避けたい状況ではある。この点から見ても振幅比例型は大きなメリットがあると考えられる。
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コンデンサー型カートリッジ vs 光電型カートリッジ
コンデンサー型・光電式カートリッジは、前述した二つの特徴を備えオルタナティブタイプを代表する。形式はコンデンサー型・光電式の振幅比例型。カンチレバーにアルミニウムの小さなシャッターのみで構成される振動系は極限まで軽量化されている。
この両者の構成は極めて近い物がある。コンデンサー型との差異から光電式の特徴がより明確になるのでコンデンサー型の特徴を見てみたい。
こちらのサイトでは、コンデンサー型の特徴に詳しくその中で振幅比例型について纏められているので引用させて頂いた。
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4.無理のないイコライザー特性
通常の電磁型カートリッジはカンチレバーの速度に比例した信号を出力する。RIAA規格(に限らず)はこの電磁型カートリッジの出力特性と録音の都合の折り合いをつけるために定められている(というような講釈はこのようなページを覗く皆さんには御不要とは思いますが、縁起物(?)ということで…(^^;)。
もしレコードに、得られる出力がすべての周波数帯域でフラットになるように録音しようとするなら、速度比例型カートリッジが相手であれば、低域になるほど大振幅のカッティングが必要となる。これでは長時間の録音が出来ず現実的でないし、そもそもトレースできるカートリッジやアームを造ることも困難だろう。
そこで、低域の振幅を押さえて録音し、出力信号は逆に低域が上昇した、というより高域が減衰した特性のイコライザーを通して再生すれば辻褄が合う、というわけだ。
一方、コンデンサー型の出力はカンチレバーの振幅(変位)に比例し、この場合イコライザー特性は低域減衰型のカーブとなる。この低域減衰の度合が電磁型すなわち速度比例型での高域の減衰率と較べると大幅に軽いのである。
電磁型用のRIAAイコライザーでは、20Hzから20kHzまでで実に39dBのゲイン差が必要となるが、コンデンサー型の場合はこれがたったの21dBで済む。50-20kHzで見るなら12.5dBほどに過ぎない。20-20kHzで単純比較しても、その差は実に18dBということになる。つまり、そのぶんコンデンサー型はイコライザーアンプの動作に無理がない。S/Nやダイナミックレンジの点を含めて現実的に考慮すると、総合的にはコンデンサー型は電磁型よりも10倍くらいは有利と思われる(RF変調方式では変復調系の性能も関わってくるが)。
下に電磁型、コンデンサー型それぞれのイコライザーカーブを示す。ともにCR型の回路でシミュレーションした結果だ(したがって僅かに偏差はある)。縮小したのでややつぶれて見にくくなってしまったが、その違いは一目瞭然だろう。縦軸は電磁型のほうが10dBきざみ、コンデンサー型のほうは5dBきざみで表示されているが、どちらのグラフもスケールは同じである。
電磁型カートリッジイコライザーカーブ (速度比例型) |
コンデンサー型カートリッジイコライザーカーブ (振幅比例型) |
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振幅比例型であってもRIAA規格に合わせる必要がある訳だが、以下のように書かれている。
- コンデンサー型では“21dBで済む。50-20kHzで見るなら12.5dBほど”
- 光電型カートリッジ“約 10dB 程度と電圧差は 3 倍程度と圧倒的に少なくなっています”。
詳細が判っていないのでカートリッジ・イコイライザーの入出力特性が異なっているのかも知れない。光電型は、負帰還量を少なく出来るのであれば好ましいようにも思う。
ではそれぞれの特徴を併記してみよう。
コンデンサー型カートリッジ特徴を抜粋
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コンデンサー型のメリット
1.余分な質量付加のないカンチレバー
2.スタイラス直近での信号変換
3.磁気歪みフリー
4.振幅比例型という特性から来る無理のないイコライザー特性
S/Nやダイナミックレンジの点を含めて現実的に考慮すると、総合的には光電型は電磁型より
も10倍くらいは有利と思われる。
デメリット(弁護付き)
1(a).変調・復調におけるリニアリティ(高周波変調型)
(b).片チャンネルの位相反転(エレクトレット型)
2.調整が必要
3.機構的な特殊性
CP-Xに関しては、専用のコネクタを備えたアームが必要であり、STAX 以外のアームでは使えないのは不便といえば不便だ。これまで市販されたエレクトレット型については通常のアームで使用できる。
また、エレクトレット型でも同様だが、専用のイコライザーアンプが必要となる点も昔はデメリットとされた。もっとも最近はプリアンプにフォノEQが入っていない場合も多いし、電磁型でも単品のイコライザーアンプを使う人も多いので、このことを使い勝手の悪さと感じる人は少ないだろう。もちろんマランツ7をどうしても使いたいという人には、そのもっとも美味しい部分であろうあのk-k帰還のイコライザーが味わえないわけだから、コンデンサー型のメリットはなくなるが。
4.電波障害(高周波変調型)
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上記との比較から光電式カートリッジの特徴
3.機構的な特殊性
CP-Xに関しては、専用のコネクタを備えたアームが必要であり、STAX 以外のアームでは使えないのは不便といえば不便だ。これまで市販されたエレクトレット型については通常のアームで使用できる。
また、エレクトレット型でも同様だが、専用のイコライザーアンプが必要となる点も昔はデメリットとされた。もっとも最近はプリアンプにフォノEQが入っていない場合も多いし、電磁型でも単品のイコライザーアンプを使う人も多いので、このことを使い勝手の悪さと感じる人は少ないだろう。もちろんマランツ7をどうしても使いたいという人には、そのもっとも美味しい部分であろうあのk-k帰還のイコライザーが味わえないわけだから、コンデンサー型のメリットはなくなるが。
4.電波障害(高周波変調型)
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上記との比較から光電式カートリッジの特徴
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光電型のメリット
1.余分な質量付加のないカンチレバー
カンチレバー+シャッター(アルミ小片) 構造的に最もシンプルである。
2.スタイラス直近での信号変換
光学的な暗室を形成する為に構造的にスタイラス直近に設置することは難しい。
3.磁気歪みフリー
4.振幅比例型という特性から来る無理のないイコライザー特性
S/Nやダイナミックレンジの点を含めて現実的に考慮すると、総合的には光電型は電磁型より
も10倍くらいは有利と思われる。コンデンサー型と比較しても更に有利である。
デメリット
1(a).変調・復調におけるリニアリティ(高周波変調型)
1.余分な質量付加のないカンチレバー
カンチレバー+シャッター(アルミ小片) 構造的に最もシンプルである。
2.スタイラス直近での信号変換
光学的な暗室を形成する為に構造的にスタイラス直近に設置することは難しい。
3.磁気歪みフリー
4.振幅比例型という特性から来る無理のないイコライザー特性
S/Nやダイナミックレンジの点を含めて現実的に考慮すると、総合的には光電型は電磁型より
も10倍くらいは有利と思われる。コンデンサー型と比較しても更に有利である。
デメリット
1(a).変調・復調におけるリニアリティ(高周波変調型)
(b).片チャンネルの位相反転(エレクトレット型)
光電型には、変調・復調は必要は無い。
光電型には、変調・復調は必要は無い。
2.調整が必要
調整は必要ない。
3.機構的な特殊性
通常のアームで使用できる。
専用のイコライザーアンプが必要となる点も昔はデメリットとされた。もっとも最近はプリアンプに
フォノEQが入っていない場合も多いし、電磁型でも単品のイコライザーアンプを使う人も多いの
で、このことを使い勝手の悪さと感じる人は少ないだろう。
4.電波障害(高周波変調型)
障害はない。
両者の比較から、光電型には、コンデンサー型のデメリットも殆ど無い事。オルタナティブタイプの特徴を俯瞰すると、オルトフォンタイプを凌駕しうる条件を最も備えている事がわかる。調整は必要ない。
3.機構的な特殊性
通常のアームで使用できる。
専用のイコライザーアンプが必要となる点も昔はデメリットとされた。もっとも最近はプリアンプに
フォノEQが入っていない場合も多いし、電磁型でも単品のイコライザーアンプを使う人も多いの
で、このことを使い勝手の悪さと感じる人は少ないだろう。
4.電波障害(高周波変調型)
障害はない。
改めて今回送られてきたDS Audio DS001のレビューをしてみたい。
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DS Audio DS001 Review
印象
外観は当然まったく同じ筈であるが、全体に締まった印象がある。前回指摘したスポットは無くヘアーライン目の方向も整っている。カートリッジ上部カバー(アームとの接触面)と本体の隙間が左右不均一で精密さを欠いた印象であったが今回の物は修正されている。
この部分も段差無く平面に問題もない。
ピンアサイン
前回の接続状況は下記のようにテレコになっていた。
カートリッジ端子(緑)⇒アーム端子(青)
カートリッジ端子(青)⇒アーム端子(緑)
今回は其々の色で一致しており問題は無い。
針圧
針圧 1g → 1.5g(推薦値) に変更した。
試聴
前回と同じレコードから試聴を始める。
DS Audio DS001 Review
印象
外観は当然まったく同じ筈であるが、全体に締まった印象がある。前回指摘したスポットは無くヘアーライン目の方向も整っている。カートリッジ上部カバー(アームとの接触面)と本体の隙間が左右不均一で精密さを欠いた印象であったが今回の物は修正されている。
この部分も段差無く平面に問題もない。
ピンアサイン
前回の接続状況は下記のようにテレコになっていた。
カートリッジ端子(緑)⇒アーム端子(青)
カートリッジ端子(青)⇒アーム端子(緑)
今回は其々の色で一致しており問題は無い。
針圧
針圧 1g → 1.5g(推薦値) に変更した。
試聴
前回と同じレコードから試聴を始める。
音の印象
前回記した音の印象は、本来のモノではない状態での試聴であった。
暫定的な針圧 1gでも安定感のあるトレース能力を示し破綻なく音楽を再現してくれるのではあるが、件の現象が再発するのではないかと何処か安心して音楽を聴く事が出来無かったのも事実であった。
今回、新たに届いたカートリッジは(針圧1.5g(推薦値):以降カートリッジB)にセットして試聴を始めた。危惧した現象は微塵もない事を確認し、LP二枚ほどを馴らしのために掛けておいた。
当然の如く、前回聴かせてくれた特徴はそのままに更に安定したエネルギーバランスである。
前回固体(針圧 1g:以降カートリッジA)でも個々の音に強調感が感じられず小さな音も大きな音も鋭い音も柔らかい音もスムーズに再現してしまう。
今迄であれば音色感や質感が変わってしまうところでもそういった変化を見せない。それがために一層耳に感じる強調感が無いため”当たり前”に聴こえてしまう。
この強調感の無さに加えてカートリッジBでは安定したトレースからワイドレンジを強調しないバランスは、音楽の表情を一層際立たせている。
特徴の一つである振動系の軽さも、聴感上でも強調感が無く”当たり前”に再現してしまうので目の覚めるようなレスポンスを期待すると拍子抜けしてしまう程である。
音場感も一際透明感があると期待したのだが、そうではなかった。今までのコンベンショナルなカートリッジと決定的に異なるのはこの音場感であり空気感であるかも知れないと様々なレコードを聴いて思い至った。
コンサート会場などの扉を開けた瞬間を思い出していただきたい。空間の持つ空気量に圧倒される。あの感じ。
エッジ感・強調感が無いため遠達性は今一つの感じもあったが、圧倒的に伸びている低域の特徴なのか質量感の再現も不足は無い。
全体の印象としては、コンベンショナルなカートリッジと比較するとエッジ感・強調感が無いためにコントラストが小さく感じられるかも知れないが実際は断続的な変化も緻密に再現していることが解る。
音が緻密な階層を成す空間は、スペックから予想するような透明感にすぐる軽針圧タイプの音ではなく、全域に過不足の無い整った帯域バランスを基調として幾重にも細かな音が重なり合うテクスチャーは、喩えが適切ではないかもしれないが、コダクローム64の色調・質感を思い出していた。
前回の試聴記では、”静けさ”を望むと記したのだけれども、低容量ケーブルを採用し追い込んでいくと、静かさも実は小さな音の積み重なりであると知らしめてくれる。詳細は後日に。
コンベンショナルなMCが音を再現しようとするならば、オルタナティブカートリッジは空気を再現しようとしていると言えるかも知れない。
最も苦手とするのは腰の据わった響の厚みであり、ジャズの特にブルーノートの音ではないだろうか。
John Coltrane 【 Ballads 】
云わずとも知れたコルトレーンの名盤 バラード 夜半に小さなボリュームで何度も聴いたのは随分前の事であった。音楽を楽しんだ最後に取り上げ片面のみを聴く。 A Love Supreme 等で先鋭的なスタイルを聞かせるが、このバラードではメロディアスで美しい旋律と控えめでシンプルなサポートに徹したバックに支えられたサクソフォーンは甘く柔らかくリラックスしたトーンを奏でる。
今回このレコードを聴きたくなりラックから暫くぶりに取上げる。
今までリラックスしていて、力みを抜いた演奏だと思っていたし、世評でも同じようなものである。ところが、DS Audio DS001で聴くと印象が違う。音量音色を凄く気にしながら演奏しているように感じる。何故そう感じるのだろうともう一度聴き直す事にした。アーティキュレーションが今までと違う。
音量・タイミング・音色に細心の注意を向けながらコントロールしている様が、ヒシヒシと伝わってくる。聴くところによれば、コルトレーンは非常に真面目な人であったそうだ。彼にあっては、表現する音楽にはリラックスもアバンギャルドもなく、同じスタイルの上に築かれているという事なのだろうと、感じ入った。
今までリラックスしていて、力みを抜いた演奏だと思っていたし、世評でも同じようなものである。ところが、DS Audio DS001で聴くと印象が違う。音量音色を凄く気にしながら演奏しているように感じる。何故そう感じるのだろうともう一度聴き直す事にした。アーティキュレーションが今までと違う。
音量・タイミング・音色に細心の注意を向けながらコントロールしている様が、ヒシヒシと伝わってくる。聴くところによれば、コルトレーンは非常に真面目な人であったそうだ。彼にあっては、表現する音楽にはリラックスもアバンギャルドもなく、同じスタイルの上に築かれているという事なのだろうと、感じ入った。
Blue Note
ブルーノートの音 アートブレーキージャズメッセンジャーズ カフェボヘミア
ライブ録音である。
ジャズを聴く上で避けて通れないブルーノート。このレーベルを通じてジャズを知り好きになった人も多いと思う。また、オーディオに興味を持つキッカケとなった人も多いのではないだろうか。ところがこのブルーノート音は多分にジャズ喫茶のイメージに形作られたところもあるがどうにも上手く鳴ってくれない。今でこそ、このレコードを鳴らす壷を押さえているので苦手とする事もないのだが一般にはSPUが独壇場で、確かに音色・リズム・空気など独特の魅力を発散している。高分解能を謳うシステムで聴くと面白くない事この上ない程上手く鳴ってくれない。熱気の再現は、高性能を謳うカートリッジであるほど落胆する事になる。
今回取り上げたオルタナティブタイプにとっては最も苦手とするレコードだと思う。
DS Audio DS001 はどうだろうか。
少し長くなってしまったので、このレコード他の試聴記は次回に。
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